2022 年 13 巻 6 号 p. 890-894
はじめに:慢性運動器疾患の疼痛に,経動脈的微小血管塞栓術(TAME:transcatheter arterial microembolization)の治療成績が報告されているが,腰痛疾患に対する報告は少ない.今回,腰椎椎間関節症にTAMEを行い,術後早期からの治療経過を評価しえたので報告する.
対象と方法:保存加療抵抗性の難治性腰椎椎間関節症患者6例(男性3例,女性3例,平均年齢68.5歳,罹病期間16.5ヶ月)にTAMEを施行し,疼痛部位と血管の関係と術前および術後1週,1ヶ月,3ヶ月の安静時,動作時,後屈時NRSとJOAスコアを評価した.
結果:血管造影検査にて,6例で疼痛部位に一致して椎間関節周囲に異常血管増生像を認め,TAME施行後全例で消失した.疼痛は,術後1週から全項目で改善し,術後3ヶ月まで持続した.術後3ヶ月のJOAスコア改善率は31.4%であった.
結語:慢性腰椎椎間関節症の全例で異常血管が観察され,疼痛はTAME施行後1週間以内に軽減し3ヶ月まで継続した.TAMEは難治性椎間関節症に有効な治療法となる可能性があり,今後,さらなる臨床研究が必要である.