2022 年 13 巻 7 号 p. 930-938
はじめに:骨粗鬆症を伴う胸腰椎骨折(OVF)に対する経皮的dynamic stabilization法(本法)の成績を報告する.
対象と方法:65歳以上の胸腰椎OVFに対し本法を施行したものを対象とした.本法は1above-1belowのPPSの尾側ロッド連結部に可動性を有することが特徴であり全ての操作は経皮的手技で行った.全20例で手術侵襲を,術後3ヶ月以上経過の17例で日常生活自立度の変化を,術後1年以上経過の12例で局所後弯角,骨癒合,OVF上下椎間の仰臥位―座位の可動域,椎体楔状化率,術直後から観察時の頭尾側PPS間距離の短縮を調査した.
結果:全症例では平均手術時間142.8分,平均出血量73.6 mlであり,標準的術式である非除圧・椎体形成併用の12例ではそれぞれ117.9分,31 mlであった.術前後の平均値比較で局所後弯角は20度から14.3度,OVF上下椎間可動域は18.9度から6.1度,椎体楔状化率は79%から61%となり有意差のある改善を得た(それぞれp<0.05,p<0.01,p<0.01).頭尾側PPS間距離は5.1 mm短縮していた.1年以上経過観察可能であった12例中11例に骨折椎体自体あるいは周辺との骨性架橋を伴う骨癒合が得られた.日常生活自立度は全例に改善を認め,65%は受傷前レベルに復帰できていた.
結語:本法はOVFに対して堅固な固定ではなく経皮的手技により制動を行うことが特徴であり,症例に応じ有効な治療選択肢となる可能性がある.