2022 年 13 巻 7 号 p. 987-991
はじめに:高齢者のDISHを伴う椎体骨折に対して,強固に椎体を把持できるPES法を用いて,転位した骨折部を整復した1例を報告する.
症例:83歳男性.前後方向に転位をきたしたDISHを伴う第1腰椎の椎体骨折があり,Frankel Bの麻痺を同時に認めた.手術は腹臥位で,PES法を用いてアンカーとなるスクリューを経皮的に設置した.整復位にbendingしたロッドを尾側3椎体に設置したスクリューに固定し,頭側のスクリューを徐々にロッドに引き寄せて整復した.スクリューの緩みなく整復が可能であり,術後Frankel C1に麻痺は改善した.術後1年が経過したが,画像上スクリューの緩みは認めない.
結語:経皮的に整復することで低侵襲なだけではなく,棘突起や椎弓を残すことで術後の骨癒合にも有利であると考える.PES法による強固な固定力を利用した本手技は治療オプションの一つになりうると考えた.