2022 年 13 巻 8 号 p. 1005-1010
はじめに:頚髄症に対する手術療法として脊椎内視鏡を使ったCMEL(Cervical MicroEndoscopic Laminotomy)が報告されている.当科では椎弓切除術に変更の上(CMEL変法)導入した.この術式は低侵襲であるが,選択的除圧および椎弓切除であることで,従来の治療法に比し治療成績悪化の危惧があり,治療成績の検討が必要である.
目的:当科で行ったCMEL変法と黒川法の1年成績を比較検討し,CMEL変法の有用性,問題点を明らかにすることである.
方法:CMEL変法は,開窓椎間の椎弓を完全に切除する方法である.対象はCMEL変法31例,黒川法39例である.検討項目は,手術時間,出血量,合併症,術後入院期間,術前と1年後のJOAスコアー,JOACMEQ,頚部痛NRSとした.
結果:平均手術時間に差はなかった.平均出血量はCMEL変法の方が少なかった.術後入院期間はCMEL変法がより早期に退院していた.JOAスコアーは術前後ともに差がなかった.JOACMEQは,術前の頚椎機能以外は差がなかった.頚部痛NRSは,術前,術後ともに差がなかった.
結論:CMEL変法は,黒川法と同等の術後成績であり,しかも低侵襲手術のため早期退院が可能な優れた術式である.