2022 年 13 巻 8 号 p. 1011-1017
はじめに:骨粗鬆症性下位腰椎椎体骨折の椎体圧壊とそれに伴う神経症状に対しては後方除圧固定が一般的であるが,我々は低侵襲手術としてBKP,LLIF,PPSを組み合わせて行っており,その場合にLLIFの間接的神経除圧効果が期待できるかどうかを検討した.
対象と方法:対象は上記に該当する症例のうち術後2年以上経過した4例である.手術は,まず腹臥位で骨折椎体にBKP,次に側臥位にて罹患椎間にLLIF,そして再度腹臥位にてPPS固定を行った.
結果:CT計測にてLLIF施行椎間の椎間板高,左右椎間孔高はいずれも術後有意に増大し,それらは術後2年時まで維持されていた.MRI計測にて硬膜管断面積は術後有意に増大し,一方,黄色靭帯断面積・厚さは術後有意に縮小した.それら増大と縮小は術後2年まで経年的に有意に進行した.術後2年のCTにてLLIF施行の全8椎間に骨癒合が確認され,JOAスコアは術前平均9点から術後平均22.5点に有意に改善した.
結語:BKP,LLIF,PPSの順に一期的低侵襲手術を行えば,LLIFによる強固な椎体間固定と間接的神経除圧効果が期待できる.