2022 年 13 巻 9 号 p. 1079-1083
はじめに:仙腸関節変性が腰部脊柱管狭窄症に対する後方除圧術の臨床成績に与える影響について検討した.
対象と方法:対象は腰部脊柱管狭窄症107例である.男性66例,女性41例,年齢は平均72歳,観察期間は平均315日であった.仙腸関節変性はEnoらの分類を用い,変性が軽度であるType0,1の67例をN群,変性が高度であるType2,3の40例をD群とし比較検討した.
結果:N群とD群のJOA score改善率はそれぞれ平均56.5%,58.9%,腰痛VAS変化量は平均14.2 mm,30.9 mm,下肢痛VAS変化量は平均27.9 mm,39.0 mm,下肢しびれVAS変化量は平均30.3 mm,28.1 mmであった.腰痛VAS変化量に有意差を認めた.JOABPEQ獲得点数では,疼痛関連障害は平均19.2点,31.4点,腰痛機能障害は平均9.4点,17.0点,歩行機能障害は平均21.8点,26.4点,社会生活障害は平均16.1点,20.9点,心理的障害は平均8.0点,8.5点であった.
結語:腰部脊柱管狭窄症の後方除圧術においては,仙腸関節変性が高度であった方が,腰痛VASの変化量が有意に大きかった.