Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
原著
原発性仙骨腫瘍の治療成績
外村 仁長江 将輝高取 良太清水 佑一寺内 竜白井 寿治高橋 謙治
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2022 年 13 巻 9 号 p. 1067-1073

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抄録

はじめに:原発性仙骨腫瘍は腫瘍学的予後が不良であり,膀胱直腸機能に影響するため治療後の機能温存が患者のQOLに重要である.本研究では本腫瘍の治療成績を明らかにする.

対象と方法:集学的治療を行なった原発性仙骨腫瘍15例を対象とした.生検術で組織診断を行ない,腫瘍局在をType I(S3以下),Type II(S2以下),Type III(S1以下)およびType IV(仙腸関節や腸骨まで拡大)に分類した.腫瘍学的予後と膀胱直腸機能を評価した.

結果:脊索腫では全例に粒子線照射を,Type IVの骨巨細胞腫はデノスマブ投与を行ない,機能障害なくAWDである.Type III,IVの悪性腫瘍では手術は施行せず化学療法を行なったが,機能悪化を認めDODであった.Type I,IIのユーイング肉腫2例と悪性胚細胞腫1例に片側S3神経を温存した仙骨切断術を施行した.1例はDODであったが,2例ではCDFであり機能悪化はなかった.

結語:本腫瘍の局所制御に粒子線照射やデノスマブ投与が組織型によっては有効であった.片側S3神経温存仙骨切断術は治療後の機能障害を生じにくく,切除範囲が許されれば本手術を検討すべきである.

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© 2022 Journal of Spine Research編集委員会
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