Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
原著
S2 alar iliacスクリューのゆるみは仙腸関節に影響を及ぼすか?
大山 素彦本田 剛久
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2022 年 13 巻 9 号 p. 1091-1096

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抄録

はじめに:S2AISは脊柱変形に対する矯正固定術における強力な尾側アンカーであるが,可動域を有する仙腸関節を通過するため,関節に対する影響が危惧される.本研究ではS2AISのゆるみが仙腸関節に及ぼす影響について調査した.

対象と方法:成人脊柱変形に対して胸椎から仙椎までの固定を行い術後2年以上経過観察しえた38症例を対象とした.ゆるみの有無で2群(Non-loosening群/Loosening群)に分け,立位全脊柱X線像,仙腸関節のCT画像,SRS-22,術後仙腸関節痛について比較検討を行なった.

結果:S2AISのゆるみは32本(42%)に生じていた(N群26例,L群22例).立位全脊柱X線像では両群に有意差は認めなかった.仙腸関節のCT画像ではN群5関節,L群5関節で術前後での関節変化を認めた.SRS-22は両群間に有意差は認めなかった.仙腸関節痛はN群5関節,L群4関節に認め,仙腸関節ブロックで全例に疼痛改善を認めた.

結語:2群間で仙腸関節の関節症変化や仙腸関節痛の発生の差はなくS2AISのゆるみが仙腸関節に及ぼす影響はほとんどないことが示唆された.

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© 2022 Journal of Spine Research編集委員会
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