2023 年 14 巻 1 号 p. 45-50
はじめに:腰椎変性側弯症(degenetive lumbar scoliosis:DLS)患者では大腿骨頚部骨密度(bone mineral density;BMD)の非対称性を生じうると考えられる.本研究ではDLS患者における両大腿骨頚部BMD値と脊柱冠状面パラメータの関連を検討した.
対象と方法:50歳以上の女性で,腰椎Cobb角≧20°を有し,かつ神経症状が見られないDLS患者31例を対象とした.EOSⓇを用いて立位全脊柱X線正面像を撮影し脊柱冠状面パラメータを計測した.Dual energy X-ray absorption(DEXA)法を用いて両大腿骨頚部BMD値を測定し大腿骨頚部BMD値の左右比と各脊柱冠状面パラメータとの相関を調査した.
結果:Coronal balanceは大腿骨頚部BMD左右比と有意な相関を認めたが(r=0.501,p=0.004),他のパラメータは相関を認めなかった.
結語:DLS患者では冠状面バランスが偏位すると反対側の大腿骨頚部BMD値が高値を示す傾向があった.偏位の大きい側弯を有する症例では大腿骨頚部BMD値の左右差を念頭に入れるべきである.