Journal of Spine Research
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症例報告
第5腰椎分離すべり症に対しS1 transdiscal screwを用いて腰仙椎固定術を行った3例の報告
諸井 威彦橘 安津子渡邉 泰伸伊賀 隆史中道 清広片岡 嗣和河野 仁竹内 拓海細金 直文
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2023 年 14 巻 10 号 p. 1332-1339

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抄録

はじめに:第5腰椎分離すべり症の術式はposterior lumbar interbody fusion(PLIF)やposterolateral fusion(PLF)が一般的である.椎体のすべりが大きい場合は整復操作に伴う神経障害のリスクが高く,椎体間の前方や側方に骨性架橋がある症例では,すべりの整復自体が困難である.我々は神経障害の発生を回避し,かつ強固な固定力および骨癒合を得るため,症例に応じてS1 transdiscal screwを用いた腰仙椎固定術を行っている.今回当院における術後成績を報告する.

症例1:69歳,女性,腰痛,右臀部痛.Meyerding分類grade 3,% slip 56%,slip angle -3°のすべりあり.L5/S1椎間板は高度に変性し,椎間板腔は狭小化していた.

症例2:33歳,男性,腰痛,両臀部痛.grade 3,% slip 55%,slip angle 8°のすべりあり.L5/S1椎間板は高度に変性し,椎間板腔は狭小化していた.

症例3:56歳,男性,腰痛,右臀部痛.grade 2,% slip 26%,slip angle -2°のすべりあり.L5/S1椎体間の前方および側方に不連続な骨性架橋の形成あり,すべりの整復やケージの挿入は困難と考えられた.

結語:術後腰痛,下肢痛ともに全例で改善し,神経障害の発生なく,術後1年で骨癒合が得られ,本術式は有用であった.

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© 2023 Journal of Spine Research編集委員会
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