Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
症例報告
頚椎後方すべりに伴う椎間孔狭窄により生じた神経根症に対して後方除圧矯正固定術を施行した1例
手塚 猛司古矢 丈雄牧 聡井上 嵩基弓手 惇史三浦 正敬白谷 悠貴丸山 隼太郎永嶌 優樹折田 純久林 浩一村上 宏宇大河 昭彦大鳥 精司
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2023 年 14 巻 10 号 p. 1340-1344

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抄録

頚椎症性神経根症は保存療法抵抗性の症状を認める場合,手術加療も治療選択肢の一つに挙げられる.今回,頚椎後方すべりに伴う椎間孔狭窄により生じた保存療法抵抗性の神経根症に対し後方除圧矯正固定術を施行した1例を経験したので報告する.

47歳女性,右上肢痛,しびれを主訴に前医初診.診察,画像検査から頚椎症性神経根症の診断となり保存加療抵抗性であったため当科紹介受診.神経症状は右頚部から右上肢にかけてのしびれと疼痛を認めた.X線画像でC5椎体後方すべり,MRIでC5/C6間の右椎間孔狭窄,CTではC5/C6椎間板の菲薄化および鉤椎関節部に骨棘様の増殖性変化を認めた.通常の頚椎症性変化に加え,頚椎後方すべりにより椎間孔の狭窄が生じ,右C6神経根症を呈していると考えた.C5椎弓切除,C6椎弓頭側部分切除と右C5/C6の椎間孔拡大,すべりの矯正を意識したC5~6後方除圧矯正固定術を施行した.術後は上肢痛などの症状は早期より完全消失,術後2年が経過した現在も,症状の再燃なく,経過は良好である.

すべりを伴う椎間孔狭窄による神経根症に対する後方除圧矯正固定術は有効な術式であると考えた.

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© 2023 Journal of Spine Research編集委員会
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