Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
原著
Risser sign grade 4の思春期特発性側弯症におけるCobb角進行と危険因子の検討
若林 玲奈本郷 道生三澤 晶子木村 竜太工藤 大輔島田 洋一宮腰 尚久
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2023 年 14 巻 11 号 p. 1377-1382

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抄録

はじめに:思春期特発性側弯に対する装具治療は,一般に骨成熟が終盤と評価されるRisser sign grade 4以上には積極的推奨はされていない.しかし,Risser sign grade 4でもCobb角が進行する症例をしばしば経験する.

対象と方法:対象は2016年から2020年に当院を初診し,Risser sign grade 4を呈する思春期特発性側弯症のうち1年以上経過観察した42例であった.Cobb角の変化,患者背景,身体所見,放射線学的評価を,進行群と非進行群に分け比較検討した.

結果:進行群8例,非進行群34例で,進行群ではCobb角が初診時28.7°が経過観察時35.8°となり,平均7.1°増加した.初潮から初診までの経過期間は非進行群24.2ヶ月に対し進行群9.7ヶ月と有意に短く(P=0.003),身長変化は非進行群が1.8 cm増加したのに対し,進行群が2.9 cm増加と有意に大きかった(P=0.02).その他では差を認めなかった.

結語:Risser sign grade 4の思春期特発性側弯症の約2割で側弯の進行を認めた.進行群では,初潮から初診までの経過期間が短く,身長の伸びが大きかった.初潮から初診までの経過期間と身長変化により,進行が危惧される場合は装具治療も考慮する必要がある.

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© 2023 Journal of Spine Research編集委員会
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