2023 年 14 巻 11 号 p. 1390-1395
はじめに:思春期特発性側弯症(AIS)において骨代謝が重症度と関連するかは明らかではない.本研究の目的は骨代謝が椎体楔状化,Cobb角の重症度と関連するか検討することである.
対象と方法:対象は矯正固定術を施行したAIS患者のうち,メジャーカーブが主胸椎カーブである女性28例である.調査項目はBone alkaline phosphate(BAP),N-terminal telopeptides of collagen type 1(NTx),頂椎の椎体楔状化,主胸椎カーブのCobb角とした.
結果:BAPは椎体楔状化と相関を認めなかったが(ρ=0.35),Cobb角とは正の相関を認めた(ρ=0.55).NTxは椎体楔状化とCobb角の両方と正の相関を認めた(ρ=0.46,ρ=0.62).椎体楔状化はCobb角と正の相関を認めた(ρ=0.46).重回帰分析で椎体楔状化の有意な因子はNTx(p=0.002)のみだった.
結語:高いNTxが頂椎の高度椎体楔状化ならびにCobb角の重症度と有意に相関しており,骨吸収亢進がAISの重症度に関連する可能性が考えられた.