Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
原著
どのような思春期特発性側弯症患者において脚長差による側弯を考慮すべきか?
須賀 佑磨重松 英樹川崎 佐智子池尻 正樹撫井 貴弘田中 康仁
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2023 年 14 巻 11 号 p. 1396-1401

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抄録

はじめに:脚長差には大腿骨頭の頂部の高さの左右差を示す機能的脚長差と大腿骨長と脛骨長差からなる解剖学的脚長差の2つがある.本研究の目的は,思春期特発性側弯症(AIS)患者における機能的・解剖学的脚長差を評価し,どのような症例に解剖学的脚長差が有する可能性があるか明らかにすることである.

対象と方法:本研究は後ろ向き研究である.2007年1月1日から2021年8月31日までにAISにて当院を受診した患者269例を対象とした.右高位を正,左右差が10 mm以上ある場合を脚長差ありとし,統計学的検討を行った.

結果:対象は215症例で,女児が90.2%(男:女=21:194),平均年齢は16.3歳であった.機能的脚長差は10例(4.6%),解剖学的脚長差は13例(6.0%)で認めた.解剖学的脚長差と機能的脚長差の間に有意差はみられず(p=0.13),解剖学的・機能的脚長の2群間の間には高い相関関係がみられた(r=0.882,p<0.01).

考察:過去の報告では,AIS患者では機能的脚長差を認めるが,解剖学的脚長差は認めないという報告が多い.しかし,本研究での結果は,機能的脚長差と解剖学的脚長差の間に高い相関関係を認め,機能的脚長差が大きい場合は解剖学的脚長差を有している可能性があると考える.

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© 2023 Journal of Spine Research編集委員会
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