2023 年 14 巻 2 号 p. 74-81
はじめに:近年,側方経路腰椎椎体間固定(以下LLIF)が成人脊柱変形(以下ASD)手術に広く用いられるようになり,冠状面の矯正力が強力であるが故に,腰仙椎fractional curveが残存した場合,Coronal imbalance(以下CI)を来す.今回ASDに対するLLIFと経皮的椎弓根スクリュー(以下PPS)を用いたcircumferential minimally invasive surgery(以下CMIS)における術後CIの対策及びその効果を検討した.
対象と方法:対象は2018年以降CMISを施行したASD患者105名とした.術中ロッド設置直後のUIV-CSVL≧10 mmのCI群とUIV-CSVL<10 mmのnon CI群に分類し,術前後の脊柱骨盤パラメーター,L4 tilt,C7-CSVLを比較検討した.さらにCI群においては,rod rotation(RR),SAI distraction(SD),kickstand rod technique(KR)を行い,ロッド設置直後及び対策施行後のUIV-CSVLとその変化量,術前後のC7-CSVLを評価した.
結果:CI群においてnon CI群と比較し術前後のL4 tiltが有意に大きかった.CI群において,各種対策によりUIV-CSVLの改善を認め,対策を追加するとともにUIV-CSVL変化量も増加し,術後C7-CSVLは全ての対策において10 mm以下となった.
結語:ASDに対するCMISにおける術後CI対策とその効果を検討した.RR,SD,KRを順次行うことで効率のよい術中のCoronal balanceの是正が可能であった.