2023 年 14 巻 4 号 p. 722-726
非骨傷性頚髄損傷患者の損傷脊髄の経時的変化と治療成績の関連性についての報告はない.当院で加療した非骨傷性頚髄損傷患者のうち,受傷直後および受傷後1ヶ月以内にMRIを撮影した19例(保存群5例,手術群14例,平均年齢68.0歳)の損傷部脊髄横断面積の変化を検討した.脊髄損傷高位はC3-4:9例,C4-5:6例,C5-6:3例,C6-7:1例であった.なお,手術は受傷2週以降に行われ,術直前にDelayed MRIを撮影した.損傷部脊髄横断面積の平均減少率,the American Spinal Injury Association(ASIA)motor scoreの改善点数は保存群:86.0%,11.8点,手術群:85.4%,10.6点で両群間に有意な差を認めなかったが,両群で同程度の脊髄面積の縮小が認められた.Delayed MRIにより,急性期の脊髄浮腫の改善を多くの症例で認めたことから,Delayed MRIは脊髄浮腫の改善による脊髄圧迫の減少を確認できる重要な評価方法の一つとなり得る.