2023 年 14 巻 5 号 p. 748-752
日本の脊椎脊髄手術におけるwrong site spine surgery(WSSS)の発生頻度やその詳細を把握し,そのデータを基にWSSSを極力なくす具体的方策を検討することを目的として,日本脊椎脊髄病学会に属する脊椎脊髄外科医に対して,web形式による無記名のアンケート調査を実施した.その結果,「脊椎脊髄外科医」の約80%にWSSSの経験があることが分かった.WSSSの原因は術者要因,患者要因など様々であった.WSSSを起こさない対策として1)複数人での確認,2)執刀医以外の医師,スタッフが意見できる環境作り,3)基本的には棘突起にマーカー(メルクマール)を置いてX線撮影での確認,4)上記X線撮影での判定が不十分と判断されれば,2方向でのX線撮影,または2ヶ所のマーカー(メルクマール)の設置,またはX線透視の使用,以上4つの案が考えられた.また手術終了後麻酔中の再度の確認が必要である.