Journal of Spine Research
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Print ISSN : 1884-7137
原著
高齢者の骨粗鬆症性椎体骨折に対する早期経皮的椎体形成術のQOLに与える影響
南出 晃人大江 真人種市 洋
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2023 年 14 巻 5 号 p. 773-778

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抄録

はじめに:高齢者骨粗鬆症性椎体骨折(OVF)に対する経皮的椎体形成術(BKP)の早期介入の意義とQOLに与える影響について検討した.

対象と方法:対象は胸腰椎移行部OVFに対し受傷4週以内に下記のいずれかの条件を満たす場合にBKPを施行:MRIで①T2強調像で広範囲低輝度または限局高輝度変化,②T1強調像で広範囲低輝度,③急速な圧潰,後弯の進行,④保存療法でADL障害である.検討項目は,腰背部痛(Numeric Pain Rating Scale;NPRS),日本語版EQ-5D-5Lであり,術前(受傷前含)と術後1ヶ月・6ヶ月・12ヶ月で比較検討した(p<0.05).

結果:88例(男/女16/72例,平均80.7歳)追跡調査可能であり,T scoreは-2.90であった.受傷後平均15.4日でBKP介入,術後退院は16.1日,NPRSは有意に改善した(p<0.05).80歳以上の超高齢者では,QOLは術後1ヶ月から受傷前同様となり,その後も維持されていた(p>0.05).しかし,術後二次椎体骨折を認めた13例では,EQ-5D-5Lは受傷前よりも有意に低下していた(p<0.05).

結語:OVFに対するBKPの早期介入による高齢者QOLに与える影響を調査した結果,80歳以上の高齢者でも早期社会復帰を可能とし,受傷前のQOLが獲得できていた.

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© 2023 Journal of Spine Research編集委員会
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