2023 年 14 巻 6 号 p. 878-883
はじめに:仙腸関節障害の診断には後方靭帯ブロックが優先されるが重症例では関節腔内ブロックを要す.関節腔内ブロックは通常透視下で行うが施行者の手指の被ばくが問題になるため,諸家の報告をもとにCT下での施行を試みた.当院での成功率と課題について報告する.
対象と方法:2021.6~2022.10でCTガイド下関節腔内ブロックを試みた入院症例50例(男性13,女性37,平均44±18歳),59関節を対象とした.腔内造影成功率と1回のブロックでのCT撮影回数,一連のブロック手技時間(針刺入~ブロック終了),総被ばく量(DLP)を調査した.
結果:34/59関節(57.6%)で関節腔内の造影が確認された.平均のCT撮影回数は4.9±1.0回,時間は6分49秒(409±145秒),総被ばく量(DLP)は9.06±2.91[mGy・cm]であった.
結語:成功率が高くはなかった要因として,画像上の計測角度を針刺入時に正確に再現できなかったこと,透視下のように針先の微妙な位置調整を頻回にできなかったことが考えられた.CTでは極わずかな被ばく線量でコントラストの高い骨構造の描出が可能で,本ブロックでの患者の総被ばく量は少なく,施行者の手指被ばくが皆無であることが本方法の利点である.