Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
原著
腰椎化膿性脊椎炎患者のModified Controlling Nutritional Status(CONUT)Scoreを用いた栄養状態の検討 低栄養は膿瘍の広がりと帰宅困難に影響する~a preliminary report~
大下 優介江守 永岡野 市郎瀬上 和之工藤 理史白旗 敏之神崎 浩二豊根 知明
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2023 年 14 巻 6 号 p. 903-908

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抄録

はじめに:化膿性脊椎炎では低栄養の病態が影響するとの報告があるが,その詳細は充分に検討されていない.今回我々は感染を発症した症例の初診時栄養評価と膿瘍の形態の関連性を検討したので報告する.

対象と方法:2020年1月から2022年5月まで当院で経験した化膿性脊椎炎26例(男性15例,女性11例)についてカルテを用いて後ろ向きに検討した.栄養の評価はCOUNT変法の基準を用いた.

結果:平均年齢は71(Range:23~89)歳であった.軽度栄養不良が6人(23.1%),中等度栄養不良が9人(34.6%),重度栄養不良が11人(42.3%)であった.

軽度栄養不良群6例の初診時MRIでは化膿性椎間板炎のみを認めるものが4例(66.7%),化膿性椎間板炎と硬膜外膿瘍の合併が2例(33.3%)であった.重度栄養障害群11例では化膿性椎間板炎のみを認めるものが5例(45.5%),化膿性椎間板炎と硬膜外膿瘍の合併が1例(9.1%),化膿性椎間板炎と腸腰筋膿瘍の合併が2例(18.2%),化膿性椎間板炎と硬膜外膿瘍と腸腰筋膿瘍の合併が3例(27.3%)であり,栄養状態の悪化に伴ない感染の広がる傾向であった.

結語:化膿性脊椎炎では低栄養が膿瘍の波及にも影響している可能性が示唆された.

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© 2023 Journal of Spine Research編集委員会
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