Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
原著
産後腰背部痛,超音波骨密度,授乳形態,授乳姿勢の関連(予備)調査
田中 悟井口 哲弘木下 恵祐貞光 隆志若松 亮太船田 菜津子市橋 さなえ左右田 裕生林 睦美前野 耕一郎
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2023 年 14 巻 6 号 p. 909-914

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抄録

産後腰背部痛と母乳授乳との関連を骨密度低下との観点から調査した.当院で出産した297名に産後4ヶ月経過した時点で腰背部痛と授乳形態についてアンケート調査を行い回答の得られた215名を対象とした.調査項目は,年齢,妊娠前BMI,出産回数,超音波骨密度,腰背部痛の有無と重症度,母乳授乳率と授乳姿勢で,腰背部痛は産後各月の疼痛程度をVASで評価してもらい,4以上を腰痛ありとし,各月の平均値で重症度を算定した.骨密度は超音波で出産直後に測定し,母乳授乳率は100,75,50,25,0%(ミルクのみ)の5段階で評価した.結果は腰背部痛有りが134名(62.3%)と多かった.母乳授乳との関連では母乳授乳率100%群は,腰背部痛を訴える頻度と重症度が高い傾向があった.骨密度との関連では母乳授乳100%の119名の中で低骨密度と高密度の2群間で,腰背部痛の割合と重症度に差はなかった.授乳中に姿勢異常がある人では,有意に腰背部痛の割合が高かった(p<0.05).近年,産後腰背部痛の原因に低骨密度を指摘した論文もあるが,今回の調査では,母乳授乳や低骨密度よりも姿勢異常のほうが関与していた.

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© 2023 Journal of Spine Research編集委員会
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