Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
原著
腰痛を有する脊柱後弯症患者に対する立位体幹伸張を中心とした理学療法の効果と限界―脊柱可動性の有無による比較から―
望月 江梨子安宅 洋美志田 菜都美野邊 和泉丹野 隆明
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2023 年 14 巻 6 号 p. 923-930

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抄録

はじめに:腰背部痛を伴う脊柱後弯症患者に対する理学療法有効性の報告は散見されるが,身体的特徴に則した具体的な方法は明らかにされていない.当院では立位で行う体幹伸張運動を中心とした独自の運動療法を導入し,脊柱可動性の有無による比較から,その効果について検討した.

対象と方法:対象は腰背部痛を有し3ヶ月間理学療法介入した脊柱後弯症患者111名とした.後頭部が接地した背臥位可能(flexible群;F群)と,不可(rigid群;R群)の2群に分け,介入前と介入3ヶ月で歩行速度・JOABPEQ・腰痛VAS・矢状面アライメントを比較した.

結果:両群とも介入3ヶ月で歩行速度が有意に増大した.介入前JOABPEQ疼痛関連障害スコアはR群で有意に低値を示したが,介入後スコアおよび有効率には両群に有意差はなかった.腰痛VAS有効率はF群40%,R群50%であった.矢状面アライメントに有意な変化はなかった.

結語:当院独自の運動療法により,脊柱可動性が低下し介入前腰痛が強いR群においてもF群と同等の歩行速度の改善と疼痛軽減効果を認め,姿勢異常を有する高齢患者に対する本運動療法の有用性が示唆された.

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© 2023 Journal of Spine Research編集委員会
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