2023 年 14 巻 8 号 p. 1091-1098
腰部脊柱管狭窄症に対して,我々は画像上の変性すべり症の有無にかかわらず全例低侵襲な除圧術のみを行っている.本研究の目的は,除圧術のみを行った症例の1年成績を変性すべり症の有無に注目して検討し,その妥当性を検証することである.
方法:L4/5椎間のみに手術を行った腰部脊柱管狭窄症200例を,非変性すべり症群(NDS群)85症例,Meyerding分類1度群(DS1群)95例,2度群(DS2群)20例に分けた.術式,手術時間,出血量,周術期合併症,再手術率,JOAスコア,ODI,JOABPEQ,腰下肢NRSを比較した.
結果:手術時間,出血量に3群間に差はなかった.硬膜損傷がDS1群に1例,再手術はNDS群で1例あった.JOAスコア,JOABPEQは3群に差はなかったが,術後ODI,下肢NRSにおいて,DS2群は他の群より成績が劣る結果であった.しかしDS2群は,再手術率,ODIの改善点,下肢痛NRSの有意改善から,手術成績としては十分に良いと考えた.短期的な成績には,変性すべり症の有無の関与は少なく,除圧術にて対応可能であると考えた.