Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
14 巻, 8 号
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原著
  • 高木 啓, 木島 和也, 圓尾 圭史, 有住 文博, 吉江 範親, 楠川 智之, 橘 俊哉
    2023 年 14 巻 8 号 p. 1080-1085
    発行日: 2023/08/20
    公開日: 2023/08/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:経椎間孔アプローチ全内視鏡下脊椎手術(transforaminal full-endoscopic spine surgery;TF-FESS)は低侵襲脊椎手術と言われているが低侵襲性について報告した研究は少ない.本研究はTF-FESSの低侵襲性を,血液データを用いて評価した.

    対象と方法:2021年4月から2022年7月に当院で腰椎椎間板ヘルニア,腰部脊柱管狭窄症に対し,1椎間のTF-FESS(局所麻酔下)を施行した68例,椎弓切除術を施行した24例,後方椎体間固定術を施行した76例を対象とし,平均年齢はそれぞれ,53.6歳,73.2歳,71.0歳であった.術前と術後1日目の血液検査にて,クレアチニンキナーゼ(CK),C反応性蛋白(CRP),白血球数(WBC),ヘモグロビン量(Hb)の平均値を比較し,変化量(Δ)の平均値を3群間で比較検討した.

    結果:TF-FESS群において,CK(術前130(U/L)vs術後114(U/L).P=0.06),CRP(術前0.44(mg/dL)vs術後0.51(mg/dL).P=0.35),WBC(術前6,757(/μL)vs術後6,982(/μL).P=0.22)は術前後で差はなく,Hb(術前13.9(g/dL)vs術後13.5(g/dL).P<0.05)は術後有意に低下した.変化量の比較ではTF-FESS群,椎弓切除群,後方椎体間固定群の順にΔCK(-17.0(U/L)vs 112(U/L)vs 456(U/L).P<0.05),ΔCRP(0.07(mg/dL)vs 0.67(mg/dL)vs 0.90(mg/dL).P<0.05),ΔWBC(225(/μL)vs 3,075(/μL)vs 3,971(/μL).P<0.05),ΔHb(-0.40(g/dL)vs-1.54(g/dL)vs-1.90(g/dL).P<0.05)と,全項目でTF-FESS群が他の2群と比べ有意に変化が少なかった.

  • 中川 智刀, 徳永 雅子, 髙橋 永次, 星川 健, 兵藤 弘訓, 佐藤 哲朗
    2023 年 14 巻 8 号 p. 1086-1090
    発行日: 2023/08/20
    公開日: 2023/08/20
    ジャーナル フリー

    腰部脊柱管狭窄症の脊柱管内病変に対する手術療法の基本は除圧術である.しかしながら,除圧術のエンドポイントは未だ不明確なところがある.本研究の目的は,MRIを使用し,脊柱管狭窄の位置,圧迫要因を同定し,手術手技上のエンドポイントとの関係性を明らかにすることである.対象は当院で脊柱管狭窄症,腰椎変性すべり症に対し内視鏡下椎弓切除術を受けた100例,167椎間である.すべり症は47椎間(28%)に見られた.神経圧迫部位を当核椎間板高位,それより頭側,それより尾側に分類した.また,背側の圧迫因子を同定した.結果.圧迫高位は,頭側から椎間板高位が3%,椎間板高位のみが81%,椎間板高位から尾側が13%,頭側から尾側までが1%と,98%が椎間板高位を含んでいた,尾側のみが2%であった.後方の圧迫因子は黄色靭帯が91%,脂肪腫症が8%であった.腰部脊柱管狭窄症の除圧術では,椎間板高位を目安として,同部位まで黄色靭帯や脂肪腫症を除去することが必要である.

  • 中川 智刀, 徳永 雅子, 髙橋 永次, 星川 健, 兵藤 弘訓, 佐藤 哲朗
    2023 年 14 巻 8 号 p. 1091-1098
    発行日: 2023/08/20
    公開日: 2023/08/20
    ジャーナル フリー

    腰部脊柱管狭窄症に対して,我々は画像上の変性すべり症の有無にかかわらず全例低侵襲な除圧術のみを行っている.本研究の目的は,除圧術のみを行った症例の1年成績を変性すべり症の有無に注目して検討し,その妥当性を検証することである.

    方法:L4/5椎間のみに手術を行った腰部脊柱管狭窄症200例を,非変性すべり症群(NDS群)85症例,Meyerding分類1度群(DS1群)95例,2度群(DS2群)20例に分けた.術式,手術時間,出血量,周術期合併症,再手術率,JOAスコア,ODI,JOABPEQ,腰下肢NRSを比較した.

    結果:手術時間,出血量に3群間に差はなかった.硬膜損傷がDS1群に1例,再手術はNDS群で1例あった.JOAスコア,JOABPEQは3群に差はなかったが,術後ODI,下肢NRSにおいて,DS2群は他の群より成績が劣る結果であった.しかしDS2群は,再手術率,ODIの改善点,下肢痛NRSの有意改善から,手術成績としては十分に良いと考えた.短期的な成績には,変性すべり症の有無の関与は少なく,除圧術にて対応可能であると考えた.

  • 石原 昌幸, 谷口 愼一郎, 足立 崇, 朴 正旭, 谷 陽一, 田中 貴大, 川島 康輝, 政田 亘平, 安藤 宗治, 齋藤 貴徳
    2023 年 14 巻 8 号 p. 1099-1108
    発行日: 2023/08/20
    公開日: 2023/08/20
    ジャーナル フリー

    目的:骨粗鬆症性椎体骨折後後弯変形(KOVF)に対する前縦靭帯深層切除併用lateral access corpectomy(LACADR)における放射線学的成績を検討した.

    対象及び方法:当院にてLACADR及び経皮的椎弓根スクリュー(PPS)を用いて手術施行し2年以上経過観察可能であったKOVFを有する患者12名を対象とした.平均年齢は72.5歳,平均経過観察期間は35.3ヶ月であった.骨折椎体,手術手順,術中出血量及び手術時間,前方椎体間距離(AID)と後方椎体間距離(PID),骨片脊柱管占拠率,局所後弯角(LK),各種脊柱骨盤パラメーター,骨癒合率,ODI,合併症を調査検討した.手術手順は側臥位としextreme lateral interbody fusion(XLIF)の開創器をもちいてLACADR及び椎体置換を行い,次いで腹臥位となりPPSを用いて後方固定を行う.LACADRに関しては骨折椎体の頭尾側いずれかの繊維輪及びALL深層をコブにて鈍的に切離し,背側より徒手整復し,その状態を保持したままX-coreを設置する.

    結果:骨折椎体はT11が1例,T12が10例,L1が4例,L2が1例であった.手術手順は後方椎間関節における骨融合を有する症例はなく,全例前方LACADRを先に行い,その後後方PPS固定を行った.出血量は365±150 ml,手術時間は207±92分,AIDは術前19.5±5.0 mmが最終37.5±5.9 mmに改善,PIDは術前25.0±3.3 mmが最終35.1±4.5 mmに改善した.骨片脊柱管占拠率は術前44.3±13.1%が術直後34.6±10.4%,最終29.3±8.9%であり有意に改善していた.LKは術前37.4±4.5°がLACADR後3.9±2.2°,PPS後3.6±2.3°,最終4.6±3.7°であり,術後有意に改善,維持されていた.SVAは術前56.7±48.5 mmが術後33.0±26.2 mm,TKは術前44.3±14.5°が術後32.6±12.1°と有意に改善した.骨癒合率は術後12ヶ月で85%,最終92%であった.骨癒合形態は架橋形成型もしくは架橋形成+椎体間癒合型は83%,cage内癒合型は17%であった.ODIは術前69.2±13.1が最終16.5±5.3に改善した.合併症は術中終板損傷1例,cage沈下2例,proximal junctional kyphosis1例,壁側胸膜損傷を4例認めた.

    結語:KOVFに対するLACADRの臨床成績を調査した.十分な矯正及びその維持,間接除圧効果,骨癒合が確認された.

  • 谷 陽一, 田中 貴大, 川島 康輝, 政田 亘平, 朴 正旭, 石原 昌幸, 足立 崇, 谷口 愼一郎, 安藤 宗治, 齋藤 貴徳
    2023 年 14 巻 8 号 p. 1109-1116
    発行日: 2023/08/20
    公開日: 2023/08/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:脊椎手術支援ロボットは,ナビゲーションとロボットアームを連動させてX線透視なしで正確な位置に椎弓根スクリューを刺入することを支援するものである.今回脊椎ロボット支援下におけるPPSの刺入精度とそれに脊椎手術経験の多寡が影響するかを検証した.

    対象と方法:対象はブレインラボ社製Cirqロボットアームシステムを用いてPPSを刺入した40例(男性21例,女性19例),手術時平均年齢は72.5歳である.頚椎は時岡らの方法に準じて小皮切での後外側筋間アプローチにて刺入した.

    結果:刺入したPPSは合計264本(頚椎40本,胸椎40本,腰仙椎・骨盤184本)で17本(頚椎2/40本,胸椎6/40本,腰仙椎・骨盤9/184本)の逸脱を認め,逸脱率は6.4%であった.術者を脊椎外科指導医,脊椎外科経験年数3年未満の若手脊椎外科医,整形外科後期研修医の3群に分けると,刺入精度はそれぞれ,94.4%,92.7%,93.9%であり統計学的に有意差は認めなかった.

    結語:ロボット支援下のPPS刺入法は脊椎手術経験の多寡に影響することなく安全かつ正確に刺入可能である.

  • 土田 隼太郎, 北浜 義博
    2023 年 14 巻 8 号 p. 1117-1127
    発行日: 2023/08/20
    公開日: 2023/08/20
    ジャーナル フリー

    骨粗鬆症性椎体骨折後の遅発性麻痺に対して経椎間孔法での全内視鏡下骨片切除術を2症例に施行した.ともに脊柱管内に突出した骨片は十分に切除され,術後神経障害の改善が得られた.本術式は,椎体はすでに癒合し安定化しているが,骨片による静的因子が神経障害の主病態である症例に対して適応があると考えている.手術手技は容易ではないが,低侵襲で直接的な除圧が可能であるため理に適っている.

  • 米山 励子, 大森 一生, 李 徳哲, 遠藤 康広
    2023 年 14 巻 8 号 p. 1128-1132
    発行日: 2023/08/20
    公開日: 2023/08/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:脊椎手術後の硬膜外血腫による神経障害は回避すべき合併症の一つである.今回われわれは,Full-endoscopic laminoplasty(FEL)術後の血種形成にドレーン留置本数が及ぼす影響を検討した.

    対象と方法:腰部脊柱管狭窄症に対し単椎間のFELを施行した24例を対象とし,ドレーン1本留置群(D1群:12例),2本留置群(D2群:12例)に交互に割り付けた.ドレーンは最大陰圧とし,4日目に抜去し,排液量を調査した.また術後1ヶ月時点の当該椎間MRI水平断画像より計測した硬膜外血腫の面積,JOAスコア改善率を2群間で比較検討した.

    結果:術後4日間の総ドレーン排液量はD2群が有意に多かった(D1 161.6 ml,D2 218.8 ml,p=0.026).術後1ヶ月の硬膜外血腫の最大面積も,D2群がD1群より大きい傾向にあったが(D1 99.0 mm2,D2 186.5 mm2 p=0.09),両群のJOAスコア改善率に有意な差はなかった(D1 75.0%,D2 85.7%,p =0.33).

    結語:複数本の閉鎖ドレーン留置により陰圧が増すことで,硬膜外腔,掘削した骨からの後出血を助長し止血を阻害することにより,ドレーン排液量・画像上の血腫量が増えることが示唆された.D1-D2群間の術後臨床成績に差はなく,侵襲の面からもFEL後留置ドレーンを2本留置する必要はないものと考えられる.

  • 堀 岳史, 酒井 清司, 徳永 綾乃, 上嶋 亮, 里見 昌俊, 吉栖 悠輔
    2023 年 14 巻 8 号 p. 1133-1137
    発行日: 2023/08/20
    公開日: 2023/08/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:本研究は全内視鏡下脊椎手術(FESS)術後に傍脊柱筋の変性が生じるかを検討することを目的とした.

    対象と方法:FESS術後にMRIを撮影した30例39検査を対象とした.男性21例,女性9例,平均年齢は67.4歳で,手術術式は,経椎弓間法(IL)18例,経椎間孔法(TF)10例,後外側法(PL)2例であった.術後MRIまでの平均期間は245日で,術後MRI検査の理由は,手術同側下肢痛の再燃が12件,症状遺残が12件,対側下肢痛の出現が9件などであった.傍脊柱筋の変性は,Goutallier分類を応用して評価した.

    結果:術前MRIで手術高位の傍脊柱筋の変性は,stage1が9例,stage2が19例,stage3が1例,stage4が1例であった.術後傍脊柱筋に変性の進行を認めたのは3例であり,いずれもTF症例で,手術高位よりも尾側の傍脊柱筋に変性の進行を認めていた.

    結語:TFアプローチの際に,椎間孔部で傍脊柱筋を支配する脊髄神経後枝を障害することで,手術高位よりも尾側の傍脊柱筋の変性が進行した可能性が示唆された.

  • 浦山 茂樹, 飯田 聖, 柏木 直也, 柴代 紗衣, 角本 士幸, 三浦 亜弓, 中村 千恵子, 鈴木 茂夫
    2023 年 14 巻 8 号 p. 1138-1143
    発行日: 2023/08/20
    公開日: 2023/08/20
    ジャーナル フリー

    DPELスコープを用いて治療した50例を後ろ向きに調査した.対象は腰部脊柱管狭窄症40例と腰椎椎間板ヘルニア10例で,追跡期間は平均12.1(2~36)ヶ月であった.JOAスコアーは術前平均14.6(5~19)点から最終追跡時平均26.5(19~29)点と悪化例なく有意に改善し(P<0.0001),改善率は82.6%であった.合併症はヘルニア症例や片側の除圧術では生じなかったが,両側除圧を行なった狭窄症の30例中4例で生じた.対側の神経根障害1例と硬膜損傷3例であった.硬膜損傷は黄色靱帯摘出時に生じ,PGAシートと遊離脂肪をサンドイッチ状に2~3層にして対処したが2例で有効であった.

  • 菊池 克彦, 吉兼 浩一
    2023 年 14 巻 8 号 p. 1144-1148
    発行日: 2023/08/20
    公開日: 2023/08/20
    ジャーナル フリー

    はじめに:若年者腰椎椎間板ヘルニアは手術を要することが多い.full-endoscopic lumbar discectomy transforaminal法(以下FELD TF)は,局麻下に施行でき,若年者に対しても良い適応と考えられるが,ある程度の痛みを伴うことがある事への理解や,術者の指示に従うか等の懸念が生じる.

    目的:10歳台腰椎椎間板ヘルニアへの局麻下FELD TFが安全に遂行可能であり,また有用であるかを検討すること.

    対象と方法:2014年4月から2021年3月までにおいて10歳代腰椎椎間板ヘルニアに対して行った局麻下FELD TF 22例を対象とし,手術時間,術中・術後合併症,術前後VASと改善率を評価した.

    結果:平均年齢は16.9(13~19)歳,平均経過観察期間は9.3ヶ月だった平均手術時間は34.5分で,術中合併症はなく,術後椎間板囊腫を1例認めた.腰痛,下肢痛,下肢しびれVASは術前69.8,77.1,62.1,術後19,13.8,11.5,改善率は79.3,85.6,91.2%であった.

    結語:10歳代腰椎椎間板ヘルニア症例に対する局麻下FELD TFは安全で有用な方法であった.

  • 延與 良夫, 中川 幸洋, 前田 孝浩, 原田 悌志, 玉井 英伸, 北裏 清剛
    2023 年 14 巻 8 号 p. 1149-1156
    発行日: 2023/08/20
    公開日: 2023/08/20
    ジャーナル フリー

    目的:チタン製椎弓プレートを用いた棘突起縦割式脊柱管拡大術の治療成績について報告する.

    対象と方法:頚部脊髄症に対してチタン製椎弓プレートを用いた棘突起縦割式脊柱管拡大術を施行し,6ヶ月経過観察可能であった13例(C群)が対象である.手術時間,出血量,JOA score改善率(術後6ヶ月),術直後の椎弓拡大率,術後6ヶ月時点での椎弓閉鎖,側溝の骨癒合の有無を調査した.HAスペーサーを用いた棘突起縦割式脊柱管拡大術を施行した12例(H群)と比較検討した.

    結果:手術時間,出血量はC群でやや多い傾向であった.JOA score改善率は両群ともに45.6%であり同等であった.椎弓閉鎖においては両群で有意差を認めなかったが,H群で椎弓閉鎖を多く認める傾向であった.術後6ヶ月での側溝の骨癒合率の割合は,C群74.2%,HA群14.9%であり,C群において有意に側溝骨癒合が良好であった.

    結語:1.頚部脊髄症に対するチタン製椎弓プレートを用いた棘突起縦割式脊柱管拡大術は,HAスペーサーを用いた棘突起縦割式脊柱管拡大術と比較して臨床成績に差異を認めなかった.2.チタン製椎弓プレートを用いた棘突起縦割式脊柱管拡大術は,強固な固定による側溝の早期骨癒合が期待できる.

  • 延與 良夫, 中川 幸洋, 前田 孝浩, 原田 悌志, 玉井 英伸, 北裏 清剛
    2023 年 14 巻 8 号 p. 1157-1164
    発行日: 2023/08/20
    公開日: 2023/08/20
    ジャーナル フリー

    目的:骨粗鬆症性椎体骨折(OVF)に対するVertebral body stenting(VBS)とBalloon Kyphoplasty(BKP)の治療成績について比較検討したので報告する.

    対象と方法:当院と関連病院で,OVFに対してVBSを施行した51例が対象である.検討項目は手術時間,出血量,腰背部痛Numerical rating scale(NRS),セメント充填量,セメントの椎体外漏出の有無,隣接椎体骨折の有無であり,レントゲンにて骨折椎体前面高,骨折椎体後面高,骨折椎体楔状角,局所後弯角を計測した.OVFに対してBKPを施行した234例と比較検討した.

    結果:平均手術時間VBS42.5分,BKP34.7分,平均出血量VBS11.1 ml,BKP4.6 mlであった.NRSはVBSとBKPで術前,術後,術後3ヶ月で有意差はなかった.セメント充填量はVBS7.6 ml,BKP8.7 mlであり,VBSで少量であった.セメントの椎体外漏出を認めた割合は,VBS7/51(13.7%)で,BKP46/234(19.7%)でややVBSが少なかった.骨折椎体前面高,骨折椎体後面高,骨折椎体楔状角,局所後弯角は術前,術後,術後3ヶ月,術後6ヶ月で有意差はなかった.隣接椎体骨折はVBS5/51(9.8%),BKP32/234(13.7%)であり有意差はなかった.

    結語:1.VBSは,BKPと比較して疼痛改善に差はなかったが,セメント充填量は少なく,セメントの椎体外への漏出も少なかった.2.VBSはBKPと比較して椎体矯正,矯正損失に差異を認めなかった.

  • 中村 周, 伊藤 不二夫, 三浦 恭志, 柴山 元英, 伊藤 全哉, 清水 賢三, 近藤 祐一
    2023 年 14 巻 8 号 p. 1165-1172
    発行日: 2023/08/20
    公開日: 2023/08/20
    ジャーナル フリー

    椎間孔狭窄症に対して通常は患側の後外側からアプローチしているが,L5-S1高位のように後外側からの進入角度に制約がある場合で同高位に脊柱管狭窄を合併している場合には,対側椎弓間アプローチの方が有利である場合が考えられる.経皮的全内視鏡下対側進入椎間孔除圧術(以下PfELCIF)と従来の経皮的全内視鏡下椎間孔除圧術(以下PfELF)とを比較した.

    PfELCIFをL5-S1高位に行った9例9椎間を対象とし,同時期にL5-S1高位の椎間孔狭窄に対してPfELFを行った29例32椎間を比較対象とした.

    術後dysesthesia発生例は両群ともなかった.椎間孔断面積拡大率は内側ではPfELCIFで有意に高く,外側ではPfELFで有意に高かった.VAS下肢症状平均改善率に有意差はなかった.

    椎間孔内側部の拡大率がPfELCIFで良好であり,L5-S1高位で椎間孔主狭窄部位が中央から内側にあり脊柱管狭窄の合併例にはPfELCIFが有用な選択肢となると考える.

  • 川島 康輝, 石原 昌幸, 谷口 愼一郎, 足立 崇, 朴 正旭, 谷 陽一, 田中 貴大, 政田 亘平, 安藤 宗治, 齋藤 貴徳
    2023 年 14 巻 8 号 p. 1173-1180
    発行日: 2023/08/20
    公開日: 2023/08/20
    ジャーナル フリー

    目的:腰仙椎多椎間固定術後L5/S1レベルでの骨癒合不全は少なくない.腰仙椎多椎間固定術後L5/S1レベルにおける骨癒合率及び獲得局所前弯角,骨癒合不全危険因子を検討した.

    対象:2014年以降当院で腰仙椎固定術を行い術後2年以上経過観察可能であった35例に関して後ろ向きに,L5/S1における固定椎間数別骨癒合率,cage個数別骨癒合率,cage素材別骨癒合率,cage前弯角度局所前弯角(以下SL)等を比較検討した.

    結果:2椎間固定(L4/5/S)8例,3椎間固定(L3/4/5/S)11例,4椎間固定(L2/3/4/5/S)16例であった.骨癒合率は2椎間固定87%,3椎間固定:73%,4椎間固定:62%であり4椎間症例で有意に骨癒合率が低かった.骨癒合群(U群)と骨癒合不全群(N群)で脊椎骨盤パラメーターを比較した結果N群で術前PI,術後PI-LL,術後SVAが有意に高く,多変量解析の結果術前PIが骨癒合不全リスクとして検出され,カットオフ値51°,AUC0.807であった.SLは,術前平均5°が術後平均10°に改善した.cageの前弯角に応じてSLが増加し,相関係数0.73,p<0.001であり有意な相関性を認めた.

    結語:本結果より4椎間固定症例で有意に骨癒合率が低く,PIが癒合不全の危険因子でありカットオフ値が51°であった.獲得SLはcage前弯角と相関があったが,骨癒合率においてはケージ素材,個数,前弯角と相関は認めなかった.

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