Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
原著
除圧術のエンドポイントを考える(腰部脊柱管狭窄症の脊柱管内病変の位置)
中川 智刀徳永 雅子髙橋 永次星川 健兵藤 弘訓佐藤 哲朗
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2023 年 14 巻 8 号 p. 1086-1090

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抄録

腰部脊柱管狭窄症の脊柱管内病変に対する手術療法の基本は除圧術である.しかしながら,除圧術のエンドポイントは未だ不明確なところがある.本研究の目的は,MRIを使用し,脊柱管狭窄の位置,圧迫要因を同定し,手術手技上のエンドポイントとの関係性を明らかにすることである.対象は当院で脊柱管狭窄症,腰椎変性すべり症に対し内視鏡下椎弓切除術を受けた100例,167椎間である.すべり症は47椎間(28%)に見られた.神経圧迫部位を当核椎間板高位,それより頭側,それより尾側に分類した.また,背側の圧迫因子を同定した.結果.圧迫高位は,頭側から椎間板高位が3%,椎間板高位のみが81%,椎間板高位から尾側が13%,頭側から尾側までが1%と,98%が椎間板高位を含んでいた,尾側のみが2%であった.後方の圧迫因子は黄色靭帯が91%,脂肪腫症が8%であった.腰部脊柱管狭窄症の除圧術では,椎間板高位を目安として,同部位まで黄色靭帯や脂肪腫症を除去することが必要である.

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© 2023 Journal of Spine Research編集委員会
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