Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
原著
腰椎椎間関節近傍囊腫に対する保存療法の有効性について
伊藤 裕哉神原 俊輔松本 智宏伊藤 圭吾
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2024 年 15 巻 4 号 p. 707-712

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抄録

はじめに:腰下肢痛のためMRI検査を受けた患者の1.7%が腰椎椎間関節近傍囊腫(Lumbar Juxta-facet cyst(以下,LJFC))という報告がある.椎間関節穿刺による破砕術は再発率が高いという報告から,十分な保存療法が行われていない状態で手術に至ることも多い.当院では原則的に,手術の前にFacet block(以下,FB)やSelective nerve root block(以下,SNRB)を行っており,その有効性について検討した.

対象と方法:2014年4月から2022年9月までに,当院でLJFCの保存療法を行った59例(男性39例,女性20例)を対象とした.手術に至らなかった症例を保存療法有効例(34例),手術に至った症例を保存療法無効例(25例)と判断した.なお,保存療法の有効性に寄与する因子(椎間辷り,椎間板変性,椎間関節変性,椎体終板変性,囊腫内MRI輝度変化,SNRB追加の有無)についても検討した.

結果:34例(58%)で保存療法は有効であった.有効性に寄与する因子は,①T2強調画像でCyst内部が強高信号,②FBのみで軽快し,SNRBを必要としなかった症例であった.

結語:LJFCの加療としては,まずはFBなどの低侵襲な保存療法を行うべきであることが示唆された.

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© 2024 Journal of Spine Research編集委員会
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