Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
原著
椎間板内condoliase注入療法施行例から知り得たいくつかの知見について
榮枝 裕文松岡 佑嗣松岡 竜輝服部 明典深谷 英昭川上 太郎
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2024 年 15 巻 4 号 p. 713-720

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抄録

目的:腰椎椎間板ヘルニア治療で,condoliase椎間板内注入療法が手術を避ける保存治療となり得るかを検討した.

方法:酵素注入療法後6ヶ月以上観察できた83例を解析.保存治療に抵抗する有痛症例には,神経根ブロックを優先して選択し,改善しない症例に酵素注入療法を勧めた.施行前・施行後2週間・4ヶ月・6ヶ月・12ヶ月の経緯と,MRIを解析した.

結果:(1)酵素注入療法は,効果発現は2週間と早く,6ヶ月で1年到達点の92%に達し,1年時まで症状の改善が見られた.(2)JOAスコアとNRS両者で判定した83例の有効率は6ヶ月で73%,1年で80%であった.Dropoutで他院手術例を成績不良例として加算した当院成績は,有効率79%,手術は3例であった.(3)MRIでヘルニア縮小は77%で見られ,ヘルニアの退縮が一部でも見られれば,89%に良成績が期待できた.(4)脊柱管狭窄・多椎間椎間板障害・不安定症・既存手術などが成績不良に関係していた.

結語:Condoliase注入療法は,中等度の椎間板変性があっても,脊柱管狭窄や不安定症などのリスク因子を避けて症例を選べば,選択し得る非手術治療となり得る.

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© 2024 Journal of Spine Research編集委員会
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