Journal of Spine Research
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Print ISSN : 1884-7137
症例報告
脊椎外科医自身が経験した胸腰椎広範性脊柱管狭窄症への複数回手術から考察する脊椎低侵襲手術の有用性
伊藤 不二夫中村 周伊藤 全哉伊藤 研悠
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2024 年 15 巻 5 号 p. 798-805

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抄録

はじめに:筆者は経胸郭性にL1/2椎体間固定術を受け,30年後にT11/12/L1,L1/2,L3/4の広範性脊柱管狭窄症に罹患した.高位診断に難渋し,また早期回復可能な低侵襲除圧法を選択した.

症例:中度左腰臀部痛が脊椎屈曲で緩解するため,L3/4馬尾圧迫に対し,経皮的全内視鏡下左片側進入両側除圧UBDで疼痛消失した.しかし2週後に下肢筋力低下,失禁,脊椎右屈曲・右回旋で増強する強度右臀部痛の新たな円錐上部症候群が発現し,T11/12/L1の2椎間除圧を計画した.T12/L1の椎間関節は矢状面形態で椎弓幅と下関節突起が狭く,これを温存すべく,左右交互から対側への両側進入対側除圧BCDで対処した.T11/12には左UBDを施行し,症状は軽快した.ただ軽度右臀部痛,切迫尿意が残存し,後弯右回旋変形固定部L1/2の円錐症状によるものと判断し,3ヶ月後に右UBDで全快した.

結語:脊髄・馬尾混合症状を呈する胸腰椎移行部は,一部に矢状面形態狭小椎間関節があるが,全内視鏡下両側進入対側除圧法の導入により,両関節温存低侵襲手術が完遂した.

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© 2024 Journal of Spine Research編集委員会
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