2024 年 15 巻 5 号 p. 798-805
はじめに:筆者は経胸郭性にL1/2椎体間固定術を受け,30年後にT11/12/L1,L1/2,L3/4の広範性脊柱管狭窄症に罹患した.高位診断に難渋し,また早期回復可能な低侵襲除圧法を選択した.
症例:中度左腰臀部痛が脊椎屈曲で緩解するため,L3/4馬尾圧迫に対し,経皮的全内視鏡下左片側進入両側除圧UBDで疼痛消失した.しかし2週後に下肢筋力低下,失禁,脊椎右屈曲・右回旋で増強する強度右臀部痛の新たな円錐上部症候群が発現し,T11/12/L1の2椎間除圧を計画した.T12/L1の椎間関節は矢状面形態で椎弓幅と下関節突起が狭く,これを温存すべく,左右交互から対側への両側進入対側除圧BCDで対処した.T11/12には左UBDを施行し,症状は軽快した.ただ軽度右臀部痛,切迫尿意が残存し,後弯右回旋変形固定部L1/2の円錐症状によるものと判断し,3ヶ月後に右UBDで全快した.
結語:脊髄・馬尾混合症状を呈する胸腰椎移行部は,一部に矢状面形態狭小椎間関節があるが,全内視鏡下両側進入対側除圧法の導入により,両関節温存低侵襲手術が完遂した.