Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
総説
アスリートの腰痛を胸郭からみる―Joint by Joint Theoryに基づく評価と治療―
笠舛 拓也西良 浩一
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キーワード: 胸郭, 腰痛, アスリート
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2024 年 15 巻 6 号 p. 860-868

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抄録

腰痛の発生頻度は一般人口だけでなくアスリートにおいても高い.腰痛によりスポーツ継続が困難となったアスリートに対し,競技復帰を支援し再発を予防するには,スポーツでは全身運動が求められることを踏まえ,腰部のみに着目するのではなく,腰部に隣接した関節からの影響を考慮した対応が必要となる.その際,Joint by Joint Theoryに基づいた関節の安定性と可動性を理解し診療に当たることが重要となる.胸骨,肋骨,胸椎から構成される胸郭では可動性が要求され,胸郭における可動性の低下は腰椎に対する安定性の低下を引き起こすことで腰痛発症の要因となり得る.特に,体幹の伸展運動や回旋運動において,胸郭における可動性は重要となる.腰痛発症に胸郭可動性が関連していると考えられるアスリートに対しては,評価から可動性低下を見つけ出し,機能改善を図るためのエクササイズが必要となる.一方で,胸郭の可動性やその運動パターンには個人差があり,正常可動域を規定することは困難である.よって,競技種目や腰痛発症に至ったと推察される動作から,胸郭可動性におけるどのような問題が腰痛発症に関連しているのか,選手各々に対して推察した上での評価や治療が求められる.

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© 2024 Journal of Spine Research編集委員会
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