2024 年 15 巻 6 号 p. 901-906
はじめに:本研究の目的は,腰椎椎間板ヘルニアに対するコンドリアーゼ治療において疼痛がほぼ消失した著効例の頻度とその関連因子を調査することとした.
対象と方法:腰椎椎間板ヘルニアに対してコンドリアーゼ治療を行い,1年以上経過観察可能であった93例(男性61例,女性32例,平均年齢45.6歳)を対象とした.臨床評価としてODI,VAS(腰痛,下肢痛)を,画像評価としてMRIを投与前,投与後1年時に評価した.1年時に下肢痛VAS≦1 cmを著効例とし,非著効例と比較検討した.また,多変量解析を行い危険因子を同定した.
結果:手術移行例は13例(14.0%)で,著効例は49例(52.7%)であった.非著効例では,女性,同一椎間手術歴の割合が有意に高かった.また,罹病期間が有意に長かった.多変量解析にて罹病期間が独立した関連因子であった.
結語:コンドリアーゼによる髄核融解術は52.7%に著効した.短い罹病期間の症例では大きな治療効果が期待できる.