Journal of Spine Research
Online ISSN : 2435-1563
Print ISSN : 1884-7137
原著
骨粗鬆症性椎体骨折患者における経皮的椎体形成術後のせん妄発生率と予後因子
中谷 友洋峯玉 賢和寺口 真年中川 雅文山本 義男松尾 咲愛左近 奈菜畑中 凌太畑中 若菜坂田 倫哉北裏 清剛中川 幸洋
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2024 年 15 巻 6 号 p. 907-913

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抄録

はじめに:手術後のせん妄は患者の転帰に悪影響を及ぼす可能性がある.しかし,脊椎手術におけるせん妄の発生率や危険因子,予防法に関する報告は少ない.本研究では,骨粗鬆症性椎体骨折に対する経皮的椎体形成術後における術後せん妄の発生率と危険因子ならびにせん妄に対する術後超早期離床プログラム(Kihoku-Super Early Ambulation Program;K-SEAP)の有効性について検討した.

対象と方法:2018年1月から2023年5月の期間に経皮的椎体形成術を施行し,評価可能であった327例とした.せん妄の有無で二群に分け群間比較を行った.さらに,ロジスティック回帰分析を行い,せん妄発生に影響を与える要因を検討した.

結果:せん妄の発生率は7%であった.せん妄群は,非せん妄群に比べ,高齢,男性,週末手術が多い,Mini-Mental State Examination(MMSE)のスコアが低い,K-SEAPの実施が少なかった.ロジスティック回帰分析によるとK-SEAPの有無(OR 0.21,95%CI 0.06~0.74),性別(男性;OR 3.55,95%CI 1.24~10.2),MMSE(OR 0.83,95%CI 0.76~0.90)がせん妄発生のリスク因子であった.

結語:K-SEAPは,経皮的椎体形成術後における術後せん妄予防に有効であることを示唆した.今後は,入院期間の短縮や続発性骨折による再入院の予防等,医療費や予後に与える影響について検討する必要がある.

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© 2024 Journal of Spine Research編集委員会
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