2024 年 15 巻 6 号 p. 923-928
はじめに:我々は腰椎椎間板ヘルニア(LDH)に対し経椎間孔的全内視鏡下椎間板摘出術(TF-FED)を行っている.全例Foraminoplastyを行い,Outside-in法で手術を行っている.L5/S1は解剖学的に椎間孔が狭く,L5神経根が近いため,Exiting nerve root injury(ENRI)のリスクが高いとされているが,L5/S1に限った治療成績の報告は少ない.本研究はL5/S1のLDHに対するTF-FEDの治療成績を評価しL4/5の治療成績と比較検討した.
対象と方法:2021年4月から2022年12月,当科にてLDHに対しTF-FEDを行い6ヶ月以上経過観察可能であった62例(L4/5:39例,L5/S1:23例).評価項目は年齢,性別,LDHの左右の局在,穿刺距離,手術時間,手術既往歴の有無,周術期合併症の有無,臨床成績は術後6ヶ月のVAS,JOABPEQ,ODIを用いた.
結果:全平均年齢は44.5歳,男性41例(66.1%),右側30例(48.4%),穿刺距離の平均は7.3 cm,平均手術時間は82.9分,手術既往歴がある症例は5例,周術期合併症は認めず,術後VAS,JOABPEQ,ODIで有意に改善した.L4/5とL5/S1の比較では年齢,性別,手術時間,手術既往歴に差は無く,術前のJOABPEQで疼痛関連障害(p= 0.03),腰椎機能障害(p= 0.04),ODI(p= 0.03)以外で有意な差は認めなかった.また,術後6ヶ月でVAS,JOABPEQ,ODIで2群間に有意な差は認めなかった.
結語:L5/S1のLDH対するTF-FEDにおいて,Foraminoplastyを十分行うことで,L4/5と同等の良好な成績を得た.