2024 年 15 巻 6 号 p. 935-940
はじめに:腰椎変性疾患により前脛骨筋(TA)の筋力低下を生じた症例に対し,術前下腿MRIによる筋質評価を行い,術後TAの筋力回復との関連について調査した.
対象と方法:対象は腰椎変性疾患に伴いTAの筋力低下を呈した25例25肢とした.術前に下腿MRIをSTIR条件で撮影し,TAの高信号変化の有無を評価した.また,術前および術後6ヶ月時点でTAのManual Muscle Testing(MMT)を評価し,下腿MRIとの関連をR commander 2.8.1を用いて統計学的に検討した.
結果:全25例中STIRでTAに高信号変化を認めたのは8例(32%)であった.STIR高信号を認めたのは術前TAのMMT[4]が14例中2例(14.3%),[3]が6例中1例(16.7%),[2]以下が5例中5例(100%)であった.統計解析の結果ではSTIRでのTA高信号変化と術後6ヶ月時点でのTA筋力の回復との関連が認められた(p=0.002).
結語:術前におけるMRI(STIR)でのTAの高信号変化は,術後のTA筋力回復との関連が認められた.MRIを用いたTAの筋質評価が術後筋力回復の予測因子となり得る可能性が示唆された.