2024 年 15 巻 6 号 p. 941-946
はじめに:本研究の目的は,sagittal vertical axis(SVA)マイナスであるスウェイバック(SB)姿勢を呈する腰部脊柱管狭窄症(LCS)患者の脊柱矢状面アライメントパラメータ,身体機能,腰下肢痛の関係について明らかにすることである.
対象と方法:自立歩行可能な術前LCS患者127例を対象とした.SB群(SVA<0 mm),良好群(0 mm≦SVA<50 mm),前傾群(50 mm<SVA)の3群に分類し,脊柱矢状面アライメントパラメータ(SVA,TK,LL,SS,PT,PI),歩行能力(10 m最大歩行時間,Timed Up and Go Test),立位重心動揺,腰下肢痛について比較検討した.
結果:SB群のLLは他2群より有意に大きく,PTは前傾群より有意に小さいものの良好群とは差がなかった.TK,SS,PTは3群間で有意差はなかった.歩行能力,立位重心動揺,腰下肢痛はSB群と他2群の間に有意差を認めなかった.
結論:SVAマイナスを呈するLCSは,大きな腰椎前弯に対して胸椎および骨盤での代償を認めなかった.身体機能・腰下肢痛はSVA良好群と同等であった.