2024 年 15 巻 7 号 p. 1002-1007
目的:成人脊柱変形(ASD)に対する側方経路腰椎椎体間固定(LLIF)及び経皮的椎弓根スクリュー(PPS)を用いたcircumferential minimally invasive surgery(CMIS)-multi rodにおけるロッド曲げ戻り量を検討した.
対象及び方法:2022年7月以降当院にてCMIS-multi rodを施行したASD患者連続31名を対象とした.固定範囲は全例下位胸椎から腸骨までとした.Rodは全例5.5 mmチタン合金を3本使用した.ロッド設置前のロッドにおける腰椎前弯(rod-LL),下位腰椎前弯(rod-LLL),胸椎部(T10からL1)後弯角(rod-TK)を調査し,さらにロッド設置後の単純X線側面像におけるrod-LL,rod-LLL,rod-TKを計測しその差を求め曲げ戻り量とした.またrod-LLの曲げ戻り量と各種パラメーターとの相関を求め,最も相関の強いパラメーターを調査した.
結果:平均年齢は75.7歳(男性5名女性26名)であった.UIVはT8:1例,T9:8例,T10:22例,LIVは全例腸骨であった.各種パラメーターの平均値はPI47.6,LLは術前-5.2°,術後43.7°,PI-LLは術前52.3°,術後3.9°であった.rod-LLは設置前47.5°,設置後37.7°,rod-LLLは設置前29.0°,設置後23.1°,rod-TKは設置前26.8°,設置後22.0°であり,それぞれ曲げ戻り量は9.8°,5.9°,4.7 °であった.rod-LL曲げ戻り量と最も相関の高いパラメーターはLLIF後PI-LLであり相関係数は0.68であった.近似式はrod-LL曲げ戻り量=0.47×(LLIF後PI-LL)+8.2であった.
結語:ASDに対するCMIS-multi-rodにおけるロッド曲げ戻り量を調査した.Rod-LL曲げ戻り量は平均9.8°,LLIF後PI-LLが最も相関が高く,相関係数は0.68,近似式はrod-LL曲げ戻り量=0.47×(LLIF後PI-LL)+8.2であった.