2025 年 16 巻 5 号 p. 754-762
はじめに:成人脊柱変形(ASD)は,脊柱の三次元的な変形により高齢者のQOLに大きな影響を与える疾患である.ASDの評価には立位X線が用いられるが,被曝リスクや姿勢変動による評価の再現性の低さが課題となっている.そこで今回は,可視光画像を用いた姿勢推定AIの有用性を検討することを目的とした.
対象と方法:ASD患者23名に対して,立位全脊椎・下肢全長X線を撮影すると同時に,可視光画像を取得した.姿勢推定AIを用いて計17点のキーポイントを出力し,姿勢推定パラメーターを定義した.そのパラメーターとX線で取得したパラメーターとの相関を解析した.
結果:姿勢推定パラメーターで,冠状面では肩バランス・体幹傾斜・膝内外反,矢状面では体幹傾斜・膝屈曲伸展とX線パラメーターとの有意な相関を認めた.これにより,可視光画像を用いた姿勢推定AIでの姿勢評価がASD患者に対して有効であることが示唆された.
結語:姿勢推定AIは,着衣下でも簡便かつ非侵襲的にASD患者の姿勢評価を可能とするため,臨床現場での応用が期待される.今後,さらなる症例を用いた研究により精度向上を検討する必要がある.