2025 年 16 巻 8 号 p. 1130-1135
はじめに:頸椎症性脊髄症(CSM)に対する内視鏡下椎弓切除術(CMEL)と椎弓形成術(LP)の治療成績を前期・後期高齢者で比較した.
対象と方法:2017年1月から2021年12月までのCSM患者158例を対象とした.前期高齢者(CMEL群13例,LP群77例)と後期高齢者(CMEL群20例,LP群48例)において,手術時間,出血量,合併症,入院期間,術後2年における治療有効割合,満足度等を評価した.
結果:前期高齢者群では,CMEL群は出血量(18.2 ml vs 109.2 ml),合併症(0% vs 13%),入院期間(9.6日 vs 13.9日)で優れていたが,治療有効割合は低値であった(30.8% vs 70.1%).後期高齢者群では,CMEL群は出血量(32.0 ml vs 86.6 ml),合併症(5.0% vs 12.5%)で優れ,治療有効割合に差はなく(45.0% vs 56.3%),満足度は高値を示した(8.6 vs 7.6).
結論:CMELは低侵襲だが,前期高齢者での治療有効性はLPが優れていた.後期高齢者ではCMELの低侵襲性を活かした手術が有用である.