2025 年 16 巻 8 号 p. 1136-1147
はじめに:腰椎椎間板の解剖学的特徴として,中上位腰椎においては,椎間板レベルは椎弓間より頭側に位置している.したがって頭側へ脱出したヘルニア塊は,椎弓間よりはるかに頭側に位置している.その脱出ヘルニア塊を,椎弓間から摘出(Inter Laminar Approach;IL法)する方法に加え,椎弓に骨孔をあけ,経椎弓的にヘルニアを摘出する経椎弓進入法(Trans Laminar Approach;TL法)と外側ヘルニアに対するアプローチを応用した上位椎弓外側縁から進入するFar Lateral Approach(FL法)の3術式を利用し,内視鏡下ヘルニア摘出(MED)した.これら3術式の使い分け,手術手技,術後成績について報告.
対象と方法:17例.平均年齢68歳,IL法7例,TL法4例,FL法6例.L3/4 13例,L2/3 4例.
結果:術当日離床歩行可能.周術期合併症なし.術後平均入院期間IL法9日,TL法6日,FL法4日.術後全例症状消失.
結語:L3/4以上の中上位腰椎椎間板においては,脱出ヘルニア塊の位置によって,3方法を適応したMEDは安全で有用だった.