抄録
通院が困難な終末期がん患者(69歳男性:肺がん)に対し,緩和ケアチーム(以下,PCT)薬剤師による在宅患者訪問薬剤管理指導を行った症例を経験した.【結果】在宅で疼痛や服薬状況を直接詳細に把握し,適切な服薬指導が行えたことで疼痛軽減が得られた.加えて良好なコミュニケーションが築かれ,精神的な安心感にもつながった.また訪問看護師との連携できめ細やかな在宅支援を行うことができ,薬剤師による他覚的な評価を医師へフィードバックすることで,外来診療に貢献できた.さらに状態の悪化や急変で入院となった際にも,在宅での状況がおおむね把握されているためスムーズな入院移行が可能であった.【まとめ】PCT薬剤師による在宅患者訪問薬剤管理指導は,通院が困難ながん患者の疼痛軽減を含む在宅生活状況改善と,在宅から入院へのスムーズな連携に有用であった.そのため,症例によっては病院薬剤師が在宅で関わる必要性があると考えられた.