Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
ISSN-L : 1880-5302
症例報告
フェンタニルとアモキサピンの併用によりセロトニン症候群を発症したがん性疼痛患者の1例
下山 恵美松岡 鐘文
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 10 巻 2 号 p. 501-504

詳細
抄録

【緒言】セロトニン症候群はセロトニン性神経伝達を亢進させる複数の薬剤の相乗作用で惹起されることが多い.フェンタニルとアモキサピンを併用投与し,本症候群を発症した症例を経験した.【症例】37歳女性,子宮頸がんの再発による臀部痛に対し,オキシコドン徐放錠とエトドラクを投与していたが,胃穿孔のため緊急開腹術を施行した.術中よりフェンタニル持続投与を開始し,術後も継続した.翌日よりフェンタニルパッチに変更したが,その後臀部痛が増強したため,フェンタニルを増量するも除痛は不十分であり,アモキサピンを追加した.5日後さらにフェンタニルを増量したところ,翌日より,四肢の振戦,混乱・せん妄,幻覚が出現し,引き続き,発熱,下肢不随意運動が出現した.アモキサピンを中止したところ4日後には解熱し,症状が軽快した.【結論】本症例は高用量のフェンタニルと三環系抗うつ薬の併用によりセロトニン症候群を発症したと考えられた.

著者関連情報
© 2015 日本緩和医療学会
前の記事 次の記事
feedback
Top