Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
ISSN-L : 1880-5302
原著
看護学生への緩和ケア教育の長期的な効果
終末期患者に対する態度の講義直後と3カ月後の比較
清水 佐智子
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2015 年 10 巻 3 号 p. 169-176

詳細
抄録

看護学生が講義で修得した終末期患者に対する態度が講義後も維持するかどうかはわかっていない.今回,緩和ケア科目を受講した看護学生 64名を対象に,FATCOD(Frommelt Attitude Toward Care of Dying Scale)-FormB-Jによる調査を講義前・後,講義終了 3カ月後に実施し,結果を比較した.46名の回答を下位尺度ごとに分析した結果,講義前後では「I.死にゆく患者へのケアの前向きさ」「II.患者・家族を中心とするケアの認識」で有意に講義後が高く,態度が育成されていると示唆された.3カ月後には「I」「II」とも元に戻り,態度は長期には維持されていなかった.死別や看取り体験の有無による態度の変化に差はなかった.態度を長期に維持するためには,自ら考えて行動する体験を増やすことや,学生の感情や意見をシェアする機会の確保などが必要と示唆された.

著者関連情報
© 2015 日本緩和医療学会
前の記事 次の記事
feedback
Top