2015 年 10 巻 4 号 p. 223-237
政府統計である受療行動調査における Quality-of-life(QOL)および Quality-of-Care(QOC)に関する項目を用いて,がん患者の療養生活の質の全国的,経時的な評価を行う検討がされている.本研究では,これらの項目が,がん患者の療養生活の質の評価において妥当性があることを検討するため,がん患者 630名への Web上モニター調査を実施した.調査の結果,すべての項目について,90%以上の回答者が,療養生活において重要であると回答した.満足度をたずねる QOCに関する項目の“ふつう”という回答選択肢は,ほぼ“満足”であること,“その他”との回答選択肢は,その項目の内容が,回答者に“該当しない”場合であることが明らかとなった.これらの知見から受療行動調査の QOLに関する項目,QOCに関する項目は妥当であり,公表する場合の結果の提示方法の示唆が得られた.