抄録
【目的】在宅療養中の終末期がん患者における致死的出血事例を調査すること.【対象・方法】2007年10月~2014年12月末までに当院で在宅緩和ケアを提供し死亡したがん患者のうち,致死的出血が契機で死亡の転帰をたどった7例(1.4%)の後方視的診療録調査を実施.【結果】男性4名,平均年齢70±11歳,原疾患は様々であった.いずれも出血発症時は医療者が立ち会えず,6例は自宅死亡,1例は止血目的に入院したが入院中に死亡した.6例は,致死的出血より24時間以上前に,同部位の出血エピソードがあった.医療者が止血を試みたもの,止血剤を投与したもの,鎮静薬を投与したものはそれぞれ1例ずつであった.自宅死亡の6例は事前に在宅看取りの意向を確認していた.【考察】在宅療養中の終末期がん患者において,致死的出血を起こした場合にできることは限られており,事前に出血時の対応について話し合っておくことの重要性が示唆された.