Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
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原著
医師と看護師が終末期の小児がん患者と家族のケアに関する相談を行いやすいと感じる専門職種とその関連要因
名古屋 祐子宮下 光令塩飽 仁
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2018 年 13 巻 1 号 p. 89-98

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Abstract

【目的】医師と看護師が終末期の小児がん患者と家族のケアに関する相談を行いやすいと感じる専門職種とその関連要因を明らかにする.【方法】小児がんの終末期ケア経験が1例以上ある医師と看護師を対象に自記式質問紙を用い,緩和ケアチーム,小児看護専門看護師,同じチームの医師や看護師といった15専門職種に対して相談を行いやすいと感じるか質問した.【結果】427名から回答を得た.回答者の7割以上が相談を行いやすいと感じていたのは「同じチームの医師」や「同じチームの看護師」など3つの専門職種であった.相談を行いやすいと感じる専門職種の関連要因として最も多くの専門職種で関連が認められたのは回答者の職種であり,回答者が医師の方が各専門職種に対して相談を行いやすいと感じていた.【考察】各専門職種への相談方法や手順の明示,専門職種連携教育を取り入れるなど相談を行いやすいと感じられる体制を検討する必要性が示唆された.

緒言

小児がんは5〜19歳の病気による死因の第1位となっている.しかし,その小児がんでさえ,成人がん患者の年間死亡数37万人比べると,450人前後と0.1%ほどの割合であり1),少数にとどまる.また,終末期ケアを必要とする子どもの数の少なさに加えて,小児領域では様々な発達段階にある子どもとその家族をケアの対象とするため,終末期ケアの経験不足や個別性の高い事例といった小児領域に特有の終末期ケアの障壁があることが明らかになっている2)

質の高い終末期ケアを行うためには多元的な価値観が必要であり,多職種による連携と協働が欠かせないと言われている35).これは,小児がん領域でも同様のことが言え6,7),緩和ケアチームの活用や,がん看護専門看護師や緩和ケア認定看護師など,成人領域の専門職種と協働しながら,よりよい終末期ケアを行っていくことが重要と考えられる.

また,小児領域に特徴的な職種として,保育士,学校教諭やChild Life Specialist(CLS)など発達支援や社会生活支援を担う職種がある.小児領域の終末期ケアの特徴として,終末期であっても子どもの成長発達を促すケアの重要性が挙げられている810).このことから,成人領域の専門職種とともに小児領域特有の専門職種とも協働していくことで,より質の高い終末期ケアにつながると考えられる.

多職種連携を効果的に進めていくうえでは,職種間コミュニケーションが核になると言われている11).神津らは,専門・認定看護師の役割に対する看護師のニーズ調査報告の中で,看護師は小児領域を含む終末期患者が少ない部署や終末期にある患者の背景が特殊な場合に終末期ケアの知識や経験の不足を感じており,看護師にとって専門・認定看護師への相談しやすさは必要な時に速やかにアクセスでき,ケアの適切性を高められるような助言や支持を受けるために最重要だと述べている12).しかし,小児領域の終末期ケアに関する先行研究では,多職種連携の有用性に関する実践報告は散見されるものの1315),多職種連携や職種間コミュニケーションに関連する調査報告は見当たらない.

そこで本研究では,職種間コミュニケーションにおいて最重要と言われている各専門職種への相談しやすさに焦点をあて,小児がん領域で働く医師と看護師が終末期の小児がん患者と家族のケアに関する相談を行いやすいと感じている専門職種とその関連要因を明らかにすることを目的とした.これらの実態を明らかにすることによって,小児がん領域の終末期ケアにおける職種間連携の問題点の抽出と,今後の連携のあり方に関する有益な示唆を得ることができると考えられる.

方法

本研究は自記式質問紙を用いた横断研究である.

対象者

対象者は,日本国内の小児がん治療施設163施設で働き,これまでに終末期ケアを1例以上経験したことのある医師および看護師とした.なお,小児がん治療施設は,日本小児白血病リンパ腫研究グループ,日本小児肝癌スタディグループ,日本ウィルムス腫瘍スタディグループ,日本横紋筋肉腫研究グループ,日本神経芽腫研究グループ,日本ユーイング肉腫研究グループおよび日本小児脳腫瘍コンソーシアムのいずれかに登録されている施設を選定した.

調査期間

調査は2015年2〜5月に実施した.

データ収集方法

各施設への調査依頼は,医師については小児がんグループの責任者に,看護師については看護部長宛に郵送にて行った.調査に同意が得られた施設にのみ,同意書に記載された適格基準を満たす対象者の人数分の質問紙を送付した.質問紙の配布は同意書に記名のあった施設担当者に依頼し,質問紙は回答者それぞれに返信用封筒を用いて返信を依頼した.

調査内容

1.終末期の小児がん患者と家族に関わると考えられる15専門職種に対して相談を行いやすいと感じるか

終末期の小児がん患者と家族に関わると考えられるがんや終末期ケアの専門職種として「緩和ケアチーム」「がん関連の専門もしくは認定看護師」,小児領域のケアの専門職種として「小児看護専門看護師」「院内学級の教員」「CLS,Child Care Staff (CCS:子ども療養支援士)もしくはHospital Play Specialist (HPS)」「保育士」,心理社会面へのケアの専門職種として「臨床心理士もしくはカウンセラー」「医療ソーシャルワーカー」「ボランティア」「宗教家」「家族会もしくは遺族会」,日々のケアに主に関わる専門職種として「薬剤師」「栄養士」「同じチームの医師」「同じチームの看護師」の15専門職種を挙げ,「自身が所属する施設内の以下の職種やチームに対して,終末期の小児がん患者と家族のケアに関する相談を行いやすいと感じますか」と質問した.なお,「緩和ケアチーム」と「家族会もしくは遺族会」に含まれる職種は限定しなかった.

回答方法は,相談の行いやすさについて「非常にそう感じる(5点)」「どちらかというとそう感じる(4点)」「どちらとも言えない(3点)」「どちらかというとそう感じない(2点)」「全くそう感じない(1点)」の5段階リッカート尺度を用いた.なお,「薬剤師」「栄養士」「同じチームの医師」「同じチームの看護師」以外の11専門職種については,施設内において各専門職種が配置されているかどうかを尋ね,それらの専門職種が配置されている場合にのみ相談を行いやすいと感じるか質問した.

2.背景要因

対象者の背景要因として,年齢,性別,職業経験年数,小児領域の経験年数,基礎教育で小児終末期ケアや小児緩和ケアについて学んだ経験の有無,卒後教育で小児終末期ケアや小児緩和ケアについて学んだ経験の有無,終末期ケアの経験人数,小児がん患者の終末期ケアの経験人数について尋ねた.

分析方法

最初に,終末期の小児がん患者と家族のケアに関する相談の行いやすさについて,「非常にそう感じる」「どちらかというとそう感じる」と回答したものを[相談を行いやすいと感じる],「どちらとも言えない」「どちらかというとそう感じない」「全くそう感じない」と回答したものを[相談を行いにくいと感じる]の2群に分類し,[相談を行いやすいと感じる]と回答した割合を算出した.なお,「薬剤師」「栄養士」「同じチームの医師」「同じチームの看護師」以外の11専門職種については,それらが配置されていると回答したものの中で相談を行いやすいと感じるものの割合を算出した.

次に,サンプル数を考慮して[相談を行いやすいと感じる]割合が2割以上であった専門職種の関連要因を単変量解析(回帰分析)および多変量解析(重回帰分析)を用いて探索的に検討した.単変量解析に回帰分析を用いた理由は,多変量解析との整合性を重視したためである.なお多変量解析(重回帰分析)は,予測式の作成ではなく,関連要因が与える影響の程度を検討することを目的に行い,強制投入法を用いた.回帰分析において,質的データにはダミー変数を用いた.多重共線性の検討の結果,年齢と職業経験年数で相関係数が0.92,年齢と小児領域の経験年数が0.72,職業経験年数と小児領域の経験年数が0.71と強い相関が認められたため,年齢と小児領域の経験年数は重回帰分析の変数から除外した.また同様に,終末期ケアの経験人数と小児がん患者における終末期ケアの経験人数の間でも相関係数が0.71であったため小児がん患者の終末期ケアの経験人数を変数から除外した.年齢,小児領域の経験年数および小児がん患者の終末期ケアの経験人数を除外した理由は,小児領域以外の職業経験や終末期ケアも回答に影響を及ぼすと考えたためである.

すべての分析には統計パッケージJMP® 12 (SAS Institute, NC)を使用し,有意水準は5%で両側検定を行った.

倫理的配慮

質問紙に調査目的,調査への参加を拒否しても不利益を受けないこと,調査に関する個人情報保護について明記し,質問紙への回答と返送をもって調査の参加に同意をしたものとみなした.なお本研究は,東北大学大学院医学系研究科倫理委員会(受付番号2014-1-762)の承認を得て実施した.

結果

回答者の背景

調査依頼を行った163施設中,医師は46施設(施設応諾率28.2%),看護師は49施設(施設応諾率30.1%)から応諾が得られた.また質問紙は,応諾が得られた施設の医師253名,看護師646名に配付し,医師157名(回収率62.1%),看護師270名(回収率41.8%)から回答を得た.

回答者の背景を表1に示す.性別は,医師では男性の割合が高く(69.0%),看護師では女性の割合が高かった(94.8%).職業経験年数は,医師が15.3±8.5年,看護師が12.0±8.9年であった.

表1 回答者の背景(n=427)

相談を行いやすいと感じる専門職種

各専門職種が配置されていると回答した割合と医師および看護師が各専門職種に[相談を行いやすいと感じる]割合を表2に示す.

「緩和ケアチーム」と「がん関連の専門もしくは認定看護師」は9割以上の回答者の施設に配置されていたが,[相談を行いやすいと感じる]割合はそれぞれ57.1%,47.0%だった.

「CLS,CCSもしくはHPS」の配置は46.1%であったが,[相談を行いやすいと感じる]割合が74.4%と,後述する「同じチームの医師」や「同じチームの看護師」に次いで高い割合であった.一方,「保育士」と「院内学級の教員」の配置割合は8割以上であったが,[相談を行いやすいと感じる]の回答はそれぞれ54.1%,38.4%だった.

「臨床心理士もしくはカウンセラー」と「医療ソーシャルワーカー」の配置割合は9割を超えていたが,[相談を行いやすいと感じる]割合はそれぞれ51.4%,39.6%であった.また,「家族会もしくは遺族会」,「宗教家」,「ボランティア」は約3〜7割が配置されていると回答したが,[相談を行いやすいと感じる]割合は7.8〜10.5%であった.

「同じチームの看護師」と「同じチームの医師」に対しては約9割の回答者が[相談を行いやすいと感じる]と回答したが,「薬剤師」と「栄養士」に対しては半数以下であった.

表2 医師と看護師が終末期の小児がん患者と家族のケアに関する相談を行いやすいと感じる専門職種と各職種の配置状況(n=427)

相談を行いやすいと感じる専門職種に関連する要因

相談を行いやすいと感じる専門職種の関連要因を表3に示す.単変量解析の結果,関連要因として最も多くの専門職種で関連が認められたのは回答者の職種であり,12専門職種中8専門職種において有意な関連が認められた.また,有意な関連が認められた8専門職種中7専門職種に対しては,回答者が医師の方が看護師よりも各専門職種に対して相談を行いやすいと感じており,「同じチームの看護師」に対してのみ,回答者が看護師の方が相談を行いやすいと感じていた.

重回帰分析の結果,相談を行いやすいと感じる専門職種と回答者の背景要因との間に関連が認められたのは,12専門職種中8専門職種であった.「緩和ケアチーム」に対しては,回答者が医師の方が相談を行いやすいと感じていた.「CLS,CCSもしくはHPS」に対しては,医師,職業経験年数が長い,終末期ケアの経験人数が多いものの方が相談を行いやすいと感じており,「小児看護専門看護師」に対しては,医師,女性,基礎教育を受けていないものの方が相談を行いやすいと感じていた.「臨床心理士もしくはカウンセラー」に対しては,医師,職業経験年数が長いものの方が相談を行いやすいと感じており,「医療ソーシャルワーカー」に対しては,医師の方が相談を行いやすいと感じていた.「同じチームの看護師」に対しては,女性の方が相談を行いやすいと感じており,「同じチームの医師」に対しては,医師の方が相談を行いやすいと感じていた.また,「薬剤師」に対しては,医師,男性の方が相談を行いやすいと感じていた.

表3 医師と看護師が終末期の小児がん患者と家族のケアに関する相談を行いやすいと感じる専門職種の関連要因

考察

終末期の小児がん患者と家族のケアに関する相談を行いやすいと感じる専門職種

小児領域におけるケアの専門職種のうち「CLS,CCSもしくはHPS」が配置されている割合は5割弱にとどまっていたが,相談を行いやすいと感じる割合は7割以上と「同じチームの看護師」と「同じチームの医師」に次いで高かった.その理由として,「CLS,CCSもしくはHPS」が配置されている場合,医師や看護師と同じように,子どもと家族のケアを日常的に行うことができる環境に配置されているためだと推察する.また,「CLS,CCSもしくはHPS」は,多職種と密に連携を取り合いながら心理社会的ニーズに焦点をあてることを目的とし,子どもの個別性に応じた情報提供や,遊びを通して子どもの心のケアを行う職種であるため16),終末期における子どもと家族の心理社会面の相談先として重要な役割を担っていると考えられる.終末期の小児がん患者と家族のケアにおいて,「CLS,CCSもしくはHPS」との連携ニーズが高いことが示唆されたため,これらの職種を積極的に配置していくことが望ましいと考える.また本研究の結果,「院内学級の教員」や「保育士」が配置されている割合は8割を超えており,「CLS,CCSもしくはHPS」の配置がない場合であっても,教員や保育士がもつ終末期の心理社会面のケア役割1719)を活用し,相談を行いやすいと感じられる環境を整えることで,終末期の心理社会面へのケアが充足すると考える.

一方で,「緩和ケアチーム」や「がん関連の専門もしくは認定看護師」が院内に配置されている割合は9割を超えていたが,相談を行いやすいと感じる割合は半数前後にとどまった.がん対策推進基本計画では,小児がんの緩和ケアにおいても専門家による集学的医療の提供や,患者とその家族に対する心理社会的な支援も取り組むべき施策の一つとされているが20),がんや終末期ケアの専門職種に対して相談を行いやすいと感じているものの割合は十分とは言えず,連携を行っていくうえでの課題だと考えられる.本研究では,回答者の所属施設における専門職種への相談依頼方法や,緩和ケアチームと小児がん診療チーム間の日頃の連携方法について調査していないが,がんや終末期ケアの専門職種に対して相談を行いやすいと感じる割合が半数前後にとどまった背景には,小児の発達や親との意思疎通などには小児医療チームの方が慣れていることや介入依頼には家族の同意や主治医からの依頼が必須条件にあることなどが関連していると考えられる21).緩和ケアチームが小児がん患者に介入するうえでは緩和ケアチームと小児がん診療チームとの連携が重要であり21),がんや終末期ケアの専門職種は小児の特殊性を,小児がん領域で働く医師と看護師はこれらの専門職の専門性を互いに知る機会を設けるなど,相談を行いやすいと感じられる工夫を行うことが重要だと考える.

相談を行いやすいと感じる専門職種に関連する要因

相談を行いやすいと感じる専門職種の関連要因として,最も多くの専門職種で関連が認められたのは回答者の職種であり,回答者が医師の方が看護師よりも各専門職種に対してケアに関する相談を行いやすいと感じていた.成人領域の文献によると,多職種間での調整役割において,病気の治癒を目指す段階では医師が中心的役割を果たすことが多いが,終末期ケアでは看護師が中心的役割を果たす必要があると言われている22).一方,小児がんの場合,治癒を目指す段階から終末期まで,同じ主治医や病棟で治療やケアが行われることが多い.そのため,医師を中心にした多職種間の調整が終末期にも継続して行われている可能性が考えられ,結果的に医師と看護師間で差が生じたと推察する.終末期の小児がん患者と家族のケアニーズは,成人領域と同様に広い範囲に及び8,9,23),患者や家族が必要としているケアの専門職種を利用できない場合には,看護師がこのようなニーズに対応する責務を担わなければならないと言われている24).このことから,必要な専門職種に対して看護師自身が主体的に相談を行いやすいと感じられる環境を整えることは,患者と家族に対するケアの質向上のためにも重要だと考えられる.具体的には,各専門職種への相談方法や手順を明示することや,多職種カンファレンスといった情報交換の場を有効に活用して相談を行いやすいと感じられる体制を構築することが望ましいと考える.

多変量解析の結果,回答者の職業経験年数や終末期ケアの経験人数が豊富であるほど,「臨床心理士もしくはカウンセラー」と「CLS,CCSもしくはHPS」に対して相談を行いやすいと感じていた.上田らは25),経験が豊富な看護師は,コミュニケーション技術を用いて患者・家族の心理的な問題を解決し,医療チームの一員として自己の役割を主体的に見出すことができる特徴をもつと述べている.経験が豊富な回答者ほど,子どもと家族が抱える心理面の課題に気付き,心のケアの専門職種と連携していることが本研究の結果から推察される.しかし,経験年数や終末期ケアの経験人数が少ないものの方が終末期ケアの困難感が高く26),身体面へのケア以上に心理社会面へのケアに対して看護師が困難を抱えていると言われていることから2),経験が少ない医師や看護師であっても,「臨床心理士もしくはカウンセラー」や「CLS,CCSもしくはHPS」に対する相談ニーズをもっていると考えられる.リハビリテーション領域の先行研究において,現任教育の専門職連携教育は多職種連携の実践能力を高める有効な教育だと述べられている27).そのため,小児がん領域においても,入職時から専門職連携教育を取り入れて多職種連携を促進させる能力を高めることは専門職へ相談を行いやすいと感じることにつながると考えられる.

研究の限界

本研究の限界として,3点挙げられる.1点目は,施設応諾率が医師,看護師ともに約3割にとどまり,施設毎に配布数および回収数が異なったため,回答に偏りが生じている可能性があることである.2点目は,本研究では各専門職種に対して相談を行いやすいと感じるかどうかのみを聞いたため,実際にどれだけ相談がされているのか,どれだけ解決されているのか不明な点である.3点目は,関連要因の検討を個人特性のみで行ったことである.重回帰分析の結果,決定係数が低かったため,個人特性以外にも関連要因があると考えられる.今後は,施設の規模,カンファレンスの実施状況や各専門職種への相談の仕組みといった施設特性も含めて関連要因を検討していく必要がある.これらのことから,本研究の結果を国内の小児がん領域の一般的な現状として直接外挿することは慎重になる必要がある.

結論

本研究では,医師と看護師が終末期の小児がん患者と家族のケアに関する相談を行いやすいと感じる専門職種とその関連要因を検討した.主な結果として,回答者の7割以上が相談を行いやすいと感じていたのは,質問した15専門職種中,「同じチームの看護師」「同じチームの医師」「CLS,CCSもしくはHPS」の3つの専門職種であることが明らかになった.また,相談を行いやすいと感じる専門職種の関連要因として最も多くの専門職種で関連が認められたのは回答者の職種であり,医師の方が看護師よりも各専門職種に対してケアに関する相談を行いやすいと感じていた.各専門職種への相談方法や手順の明示や,専門職種連携教育を取り入れるなど,相談を行いやすいと感じられる体制を検討する必要性が示唆された.

謝辞

本研究を行うにあたりご協力いただきました対象者の皆様に心より御礼申し上げます.

付記

本研究の一部は第18回北日本看護学会学術集会(2015年8月,仙台)において発表した.

利益相反

宮下光令:企業の職員・顧問職(NPO法人日本ホスピス緩和ケア協会理事),原稿料(株式会社メディカ出版)その他:該当なし

著者貢献

名古屋は研究の構想およびデザイン,研究データの収集と分析,研究データの解釈,原稿の起草に貢献;宮下は研究データの解釈,原稿の重要な知的内容に関わる批判的な推敲に貢献;塩飽は研究の構想およびデザイン,研究データの解釈,原稿の重要な知的内容に関わる批判的な推敲に貢献した.すべての著者は投稿論文ならびに出版原稿の最終承認および研究の説明責任に同意した.

References
 
© 2018日本緩和医療学会
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