Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
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症例報告
原発不明がんの多発骨転移として緩和ケア科へ紹介されSAPHO症候群であった1例
佐藤 尚子橋本 淳
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2019 年 14 巻 2 号 p. 145-149

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抄録

【緒言】原発不明がんの多発骨転移と当院緩和ケア科へ紹介され,SAPHO症候群であった1例を経験した.【症例】74歳,男性,第11胸椎,第3腰椎を骨折,MRIを施行,胸椎,腰椎に多発骨病変を認めた.多発骨転移と考え,原発巣の検索をしたが,特定できず,原発不明がん多発骨転移と診断され,当院緩和ケア病棟へ転院となった.数年間,体調の変化はなく,再度精査を行った.CTでは胸肋鎖関節が肥厚,骨シンチでは,同部位に集積を認め,MRIの多発椎体病変は減少していた.臨床経過,検査結果より,SAPHO症候群の可能性を考え,当院整形外科にコンサルト,SAPHO症候群と診断された.【考察】SAPHO症候群は,掌蹠膿胞症や座瘡などの皮膚病変に骨関節病変を合併する稀な良性疾患であり,診断に難渋する場合もある.本症例のように,多発骨病変を有する場合,SAPHO症候群を鑑別に置く必要がある.

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© 2019日本緩和医療学会
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