Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
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症例報告
尿のアルカリ化を伴う無症候性細菌尿を認め,高アンモニア血症および意識障害をきたした膀胱がん末期症例
髙橋 正裕
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2019 年 14 巻 2 号 p. 107-111

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抄録

【緒言】高アンモニア血症および意識障害をきたした膀胱がん末期症例を経験した.【症例】90歳の男性.腫瘍からの出血を繰り返し,尿道カテーテルを留置されていた.緩和ケア病棟入院中に,意識障害と高アンモニア血症を認めた.肝転移は認めなかった.尿検査にてアルカリ尿およびリン酸アンモニウムマグネシウム結晶を認めたため,尿素分解能を有する細菌によるアンモニア産生を疑った.レボフロキサシンは無効だったが,メトロニダゾールを投与したところ意識は改善,血中アンモニアは正常化,尿は酸性化,リン酸アンモニウムマグネシウム結晶は消失した.尿素分解能を有する細菌は同定できなかった.【考察】本症例のような進行・終末期膀胱がんでは,尿素産生能を有する細菌が産生するアンモニアによって,尿路の閉塞がなくても高アンモニア血症および意識障害をきたす可能性がある.

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© 2019日本緩和医療学会
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