Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
ISSN-L : 1880-5302
原著
終末期がん患者の口腔内不快事象に対する蜂蜜併用半夏瀉心湯の含嗽による有効性の検討
村上 敏史五十嵐 麻美宮野 加奈子上園 保仁八岡 和歌子上野 尚雄鈴木 恵里石井 妙子松田 裕美
著者情報
ジャーナル フリー HTML
電子付録

2019 年 14 巻 3 号 p. 159-167

詳細
抄録

【目的】終末期がん患者の口腔不快事象に対する半夏瀉心湯の含嗽の有効性を検討した.半夏瀉心湯に蜂蜜を混和することで症状緩和の有効性およびコンプライアンスが向上するか検討した.【方法】対象症例を無作為に振り分けたうえで,半夏瀉心湯または蜂蜜併用半夏瀉心湯含嗽を2週間施行した.開始前後で口腔乾燥,口臭,口内炎,口腔内不快感,含嗽のコンプライアンスについて評価を行った.【結果】対象症例は22例であった.半夏瀉心湯含嗽による口腔内乾燥度の改善,呼気中硫化水素の減少が認められたが,含嗽による臨床効果や含嗽のコンプライアンスと蜂蜜併用の有無に大きな関連は認められなかった.【結論】終末期がん患者の口腔不快事象に対する半夏瀉心湯の含嗽は,患者の生活の質向上に寄与することが示唆されたが,蜂蜜の使用についてはとくに大きな利点は認めなかった.口腔内不快事象を緩和させることは終末期がん患者のケアに有効であると考えられる.

著者関連情報
© 2019日本緩和医療学会
次の記事
feedback
Top