Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
ISSN-L : 1880-5302
原著
終末期がん患者に対する酸素吸入療法による有害事象:単施設後方視的研究
渡邊 紘章佐藤 史隆谷口 明子山本 千佳代小田切 拓也浅井 泰行
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2019 年 14 巻 4 号 p. 245-251

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抄録

【目的】終末期がん患者の呼吸困難に対する酸素吸入の実施頻度は高いが,臨床実態についての報告はほとんどない.今回,入院中の終末期がん患者に対する酸素吸入の実施頻度および有害事象について検討した.【方法】2016年1月から2018年6月に自施設の緩和ケア病棟を死亡退院した全例を対象とした後方視調査.入棟時すでに酸素使用していた症例は除外した.【結果】解析対象患者は257例,酸素吸入群が195例(76%).酸素吸入の死亡前の実施累積割合は7日前36%,3日前54%,1日前76%であった.有害事象は,束縛感64例(31%),せん妄症状悪化27例(14%),鼻腔・口腔出血25例(13%),乾燥5例(3%),自覚症状悪化4例(2%)であった.有害事象に伴う酸素吸入の中断は76例(39%)を認めた.【結論】死亡直前期の酸素吸入は死亡3日以内に半数で開始されていた.酸素吸入の有害事象として,束縛感やせん妄症状悪化を認める可能性がある.

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© 2019日本緩和医療学会
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