2020 年 15 巻 1 号 p. 1-8
本研究は,終末期がん患者を受け持った看護学生の体験を明らかにすることを目的とした.高齢者看護学実習にて終末期がん患者を受け持った看護学生3年生15名に面接調査を実施した.終末期がん患者を受け持った学生の体験は【苦しんでいる患者がいるのに何もできず情けない】【終末期と怖気づかずに非力ながらも自分から関わっていく】【日常生活のなかで生死を目の当たりにする】【患者が生きている今日1日をしっかりと支えていく】【クリティカルな状態にある患者を看るにはまだまだ不十分さが残ると自覚する】【最期まで患者らしく人生を生き切れるようにする】のカテゴリーで構成された.学生の体験は,終末期にあるがん患者の状況から,自身のケアのあり方に対峙し,患者らしさを引き出す大切さを学ぶ体験となっていた.患者の持つその人らしさの視点を広げることは,対象の持つ特性を加味した終末期ケアを促すことになることが推察された.