Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
ISSN-L : 1880-5302
症例報告
持続頸部硬膜外ブロックの併用により放射線治療を完遂できたPancoast腫瘍の1症例
田中 萌生野本 優二土田 恵美子
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2021 年 16 巻 3 号 p. 247-251

詳細
抄録

Pancoast腫瘍は比較的稀な疾患であるが,腫瘍が神経叢を侵すためしばしば強い痛みを伴いその疼痛コントロールに苦慮する.またPancoast腫瘍では放射線治療ががんそのものの治療としてだけでなく除痛目的としても選択されることが多い.Pancoast腫瘍の放射線治療は頭部固定具を用いて治療体位の再現性がよいことを確認してから治療を行う.このため安静保持の必要があるが,その強い痛みで安静保持ができない場合は治療困難となる.今回Pancoast腫瘍による強い上肢痛があり,安静仰臥位を保つことが困難であった患者に対して持続頸部硬膜外ブロックで疼痛コントロールを行い,放射線治療を完遂できた症例を経験した.硬膜外カテーテル留置による感染や出血のリスクとの兼ね合いはあるが,本疾患で疼痛コントロールに苦慮する場合は持続頸部硬膜外ブロックの併用が提案される.

著者関連情報
© 2021日本緩和医療学会
前の記事 次の記事
feedback
Top